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ごあいさつ

羅針盤
01 /01 2019
当ブログでは、フィレンツェ在住の日本人ガイドがフィレンツェを中心としたイタリアの情報を書いています。
またガイド・通訳のお仕事も承っております。
natale2016-9

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新着記事は、このひとつ下の日記をご覧ください。
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カピトリーノ美術館 古代ローマ起源の物語

ローマ
12 /08 2018
フォロ・ロマーノのすぐ近く、ローマの7つの丘のうち、カピトリーノの丘の上に建つ美術館を紹介する第2弾です。

今日は宮殿内のフレスコ画です。
「ホラティウス兄弟の間」
ホラティウス兄弟は王政ローマ期の勇者です。
ローマとアルバ・ロンガ(ローマを建国したロムスの出身国)との対立が深まった時に、エトルリアの脅威を考慮して、双方の被害を最小に抑えるために、両国の勇士同士の決闘で決着をつけることになります。ローマ側の勇者がではホラティウス兄弟で、二人を失いながらも最後のホラティウスが逆転勝利を収めました。

このホールのフレスコ画は1595年〜1640年の頃にカヴァリエーレ・ダルピーノによって描かれました。ローマのマニエリスムの代表的な画家で、カラヴァッジョやグイード・レーニの師匠です。
テーマはローマの歴史家ティトゥス・リウィウスによって語られた古代ローマ起源の物語です。
雌狼による双子ロムルスとレムスの発見に始まり、ローマが近隣の国との戦いに勝利して領土を拡大していく物語が描かれています。

「サビニ女の略奪」フィレンツェではジャンボローニャの彫刻でも有名な場面です。
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女性が足りなかったローマが近隣のサビニ族の女性を攫ってきます。

銅像はバルベリーニ家の教皇ウルバヌス8世、ジャンロレンツォ・ベルニーニの作品(1635〜40年頃)です。

「ホスティリウス対フェデナイとウェイイの戦い」
王政ローマ第3代の王トゥッルス・ホスティリウスの時代の戦いの物語です。
ホラティウス兄弟に負けたアルバ・ロンガは結果に不満を抱き、フェデナイとウェイイ国を扇動してローマとの戦いに巻き込みます。アルバ・ロンガはローマに味方して途中で寝返るという作戦でした。この罠を見破った王は、反対にアルバ・ロンガが同盟国を裏切ったように見せかけ、フェデナイとウェイイは混乱の中に敗走しました。
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画家のダルピーノは描き始めてから、約20年の中断を経てこの部屋のフレスコ画を完成させました。後に描いた部分は早い筆使いで簡潔に描いてあり、彼の後期の作風がわかります。

「雌狼の発見」ロムルスとレムスに乳を与える雌狼が発見される場面です。
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銅像はパンフィーリ家の教皇インノケンティウス10世、アレッサンドロ・アルガルディ作(1645〜1650年頃)です。

二人の教皇の像は、その名誉を讃えるためコンセルヴァトーリ宮殿から注文された作品です。

カピトリーノ美術館

ローマ
12 /06 2018
フォロ・ロマーノのすぐ近く、ローマの7つの丘のうち、カピトリーノの丘の上に建つこの美術館は、一般市民に公開された世界最古(1734年)の美術館とされています。

階段で丘の上に登っていくと三方向を建物に囲まれた美しい広場が見えてきます。
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広場   ミケランジェロ設計 地面は幾何学模様の敷石
広場中央 マルクス・アウレリアス騎馬像 オリジナルは美術館の中、台座はミケランジェロ作
広場正面 市庁舎
広場右  コンセルヴァトーリ宮殿 ファサードはミケランジェロ設計
広場左  新宮殿

左右の宮殿がカピトリーノ美術館です。

1471年 教皇シクストゥス4世がラテラノ宮に保管されていた古代ローマの彫刻をローマ市民に返還し、コンセルヴァトーリ宮殿の中庭に設置。
1734年 教皇クレメンス12世の時に一般市民に公開。
1748年 教皇ベネディクトゥス4世がコンセルヴァトーリ宮殿の3階に絵画館が設置。

コンセルヴァトーリ宮殿は4世紀に渡って司法府として使われた15世紀の建築で、当時は地上階に12のアーチがありました。
16世紀にミケランジェの設計により改築が行われますが、完成前にミケランジェロが亡くなったため、彼の設計図に忠実な形にグイード・グイデッティ→ジャコモ・デッラ・ポルタによって完成されました。

コンセルヴァトーリ宮殿中庭
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この空間には大きな彫刻の残骸が並んでいます。
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大理石製の巨大な手や足は、12メートル以上あったコンスタンティヌスの巨像の一部だそうです。
15世紀に発見されたものですが、胴体部分がないのは「arcolito アルコーリト」(古代ギリシアの木像で、頭部や手足は石か象牙を用いた)だったためと考えられます。

2階に通じる階段
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マルクス・アウレリアスの凱旋門に使われていた12枚の浮き彫り(2世紀)が展示されています。

次回に続く!

カラヴァッジョの聖母と娼婦

ローマ
12 /05 2018
今日もローマのドーリア・パンフィーリ宮殿の絵画コレクションを紹介したいと思います。

同美術館には画家カラヴァッジョの作品が3枚あります。
「洗礼者ヨハネ」「改悛のマグダラのマリア」「エジプトへの逃避途上の休息」

「改悛のマグダラのマリア」は1594年ごろの作品です。
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注文主は不明で、ピエトロ・アルドブランディーニ枢機卿の所有財産の目録に入っていました。
同家のオリンピアとカミッロ・パンフィーリの結婚により、パンフィーリ家所有となります。

この作品のモデルの女性はカラヴァッジョが通っていた娼婦のアンナ・ビアンキーニであると考えられていて、彼女はカラヴァッジョの他の作品でもモデルを務めています。この頃アンナは17歳で、絵画に見られるように赤い髪だったそうです。
濡れた髪の女性が椅子に座っていて、床に置かれている宝石が「虚栄心」「罪」の拒否を表現しています。
マグダラのマリアの視線は下の方に向かい、これは磔刑図のイエスの表現と対比することができます。

そして「エジプトへの逃避途上の休息」は1595年頃の作品です。
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高位聖職者ペトリニャーニ(カラヴァッジョは彼から部屋を借りていた)の注文で描かれたと伝記にあります。
しかし学者によってはオラトリオ会の注文であるとか、アルドブランディーニ枢機卿の注文と推定する向きもあります。

ロンバルド・ヴェネトの絵画文化の中で育ったカラヴァッジョの、究極の「自然の本物らしさ」がこの作品の色彩に溢れています。
雨が降りそうなどんよりとした空模様はジョルジョーネ作「テンペスタ」によく似ています。
乾いた自然を背景にしたヨゼフ、それに比べて聖母子の周りには緑の植物が見られ、対照的です。

これらの絵を鑑賞している時に、ちょうどイタリア人のガイドさんがグループに説明していたのですが、2枚の絵は同じモデルが使ってあるというのです。
そういえばポーズもよく似てる?!
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マリア様のモデルに娼婦を使うとは…カラヴァッジョって本当に大胆な画家だったんですね。

インノケンティウス10世の肖像画と胸像

ローマ
12 /04 2018
ローマのドーリア・パンフィーリ宮殿は同家の絵画コレクションが展示されています。
ギャラリーにはティントレットやティツィアーノ 、ラッファエッロ、カラヴァッジョといった著名な画家の作品が並んでいます。

その中にパンフィーリ家から出身した教皇インノケンティウス10世に捧げられた部屋があり、ヴェラスケスベルニーニというバロックの巨匠の作品が展示されています。

「インノケンティウス10世の肖像」ヴェラスケス作 1650年
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作品はヴェラスケスが1649〜51年のイタリア旅行中に描かれた作品です。
軽い麻製の教皇の衣装をきていることから夏の時期に描かれたと考えられています。

ローマ訪問時にすでにヴェラスケスは著名な画家でした。
インノケンティウス10世への謁見を許可されたヴェラスケスは自ら教皇の肖像画を書くことを申し出たのですが、画家の評判を知らなかった教皇は彼の才能に疑問を抱いていました。そこでヴェラスケスは既に描いてあった他の人物の肖像画を見せて許可をもらったそうです。
完成した自分の肖像画を見た時、インノケンティウスは「本物すぎる!」と感嘆したそうです。

この作品はその当時からインノケンティウスの実家であるパンフィーリ家のコレクションに入り、今も同家の宮殿に展示されているわけです。

そして同じ部屋にベルニーニ作「インノケンティウス10世の胸像」が展示されています。
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美術館で借りたオーディオガイドの説明によれば、インノケンティウス10世が出たパンフィーリ家と、前教皇のウルバヌス8世を輩出したバルベリーニ家はライバル関係にありました。
ウルバヌス8世のお気に入りの芸術家であったベルニーニはインノケンティウス10世から敬遠され、数多くの芸術注文はベルニーニのライバルだった他の芸術家に委嘱されるようになっていきました。
しかしナヴォーナ広場の「4つの川の噴水」の建築に際して、ベルニーニは銀製の噴水のモデルを隠し持って教皇に会いに行き、見事な作品でインノケンティウス10世を魅了したそうです。こうして彼はインノケンティウスとの不和の時期を乗り越えました。
そんな歴史を踏まえながら、ベルニーニの手による教皇の胸像を見学するのも面白いですよね。

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住26年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。