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羅針盤
01 /01 2018
当ブログでは、フィレンツェ在住の日本人ガイドがフィレンツェを中心としたイタリアの情報を書いています。
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羅針盤2

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アカデミア美術館のゴシック6

サンマルコ地区
09 /19 2017
ミケランジェロの彫刻で有名なフィレンツェのアカデミア美術館。
実は豊かなゴシック様式の絵画コレクションも展示しています。
ゴシックの作品を部屋ごとにご紹介。

Sala di Lorenzo Monaco〜ロレンツォ・モナコの部屋〜
◉ロレンツォ・モナコ
1391年にフィレンツェのサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会のカマルドリ修道院に入った画僧です。14世紀後期〜15世紀はじめの国際ゴシック様式で、ギベルティやスタルニーナの影響も伺えます。フラ・アンジェリコの師匠でした。
「受胎告知の三翼祭壇画」1410〜15年
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今は存在しないサン・プロコーロ教会にありました。天使の出現に驚いて身をよじるポーズはシエナのシモーネ・マルティーニの作品を彷彿とさせます。明るく輝く色彩や伸びる形態は国際ゴシックの特徴。

受胎告知の左には聖人の大アントニオス(Santo Antonio abate)の姿が見えます。
3世紀のエジプトで生まれ敬虔な両親にキリスト教徒としての教育を受けました。両親の死後、財産を貧しい者に与えて、自らは砂漠に籠もり苦行生活をしたため、修道士生活の創始者とされます。

ちなみに麦角菌中毒をヨーロッパで「聖アントニウスの火」と呼びます。ライ麦をはじめ小麦、大麦、エンバクなど多くの穀物に寄生する菌で、感染すると手足が燃えるような感覚を与えるそうです。
大アントニオスに祈ることで治癒されると信じられていました。

この作品でも聖アントニオの足元に小さな豚が描かれています。これは聖アントニオ修道院で飼われていた豚で、修道僧たちは豚の油から軟膏を生産し、麦角菌中毒の薬に使っていました。
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参照 Galleria dell'Accademia, Giunti, Firenze 1999. ISBN 8809048806

アカデミア美術館のゴシック5

サンマルコ地区
09 /18 2017
ミケランジェロの彫刻で有名なフィレンツェのアカデミア美術館。
実は豊かなゴシック様式の絵画コレクションも展示しています。
ゴシックの作品を部屋ごとにご紹介。

Sala del tardo Trecento〜14世紀末の部屋〜
14世紀末から15世紀初めの絵画作品とともに、金糸と銀糸で刺繍された祭壇の覆いの布地も展示されています。

◉ビッチ・ディ・ロレンツォ
15世紀前半にフィレンツェで活動した画家。ロレンツォ・ディ・ビッチ(父)〜ビッチ・ディ・ロレンツォ〜ネーリ・ディ・ビッチと3代続く画家の家系で、1405年に父親から工房を受け継いだ。ロレンツォ・モナコとジェンティーレ・ダ・ファブリアーノに影響を受けた国際ゴシック様式。

◉チェンニ・ディ・フランチェスコ・セル・チェンニ
画家・細密画家で、ジョヴァンニ・デル・ビオンドの協力者であった。フィレンツェに多くの作品を残した。

◉ジョヴァンニ・ダル・ポンテ
「橋の聖ステファノ教会」の近くに工房を持っていたことから「ダル・ポンテ(橋の)」と呼ばれる画家。スピネッロ・アレティーノやジェリーニの後期ゴシック様式の影響を受けた画家。ギベルティの造形にも繋がるものがあり、その工房で修行したのではないかと考えられる。次第にマゾリーノの作風に近づき、長持ち装飾の画家としても知られている。
「マリアの戴冠と聖人の多翼祭壇画」1420〜30年
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人物像は明暗を使ってどっしりとした重みがありマザッチョに近い作風となるが、細かい装飾はゴシック様式が残っている。中央に「マリアの戴冠」横には聖人たち、聖フランチェスコ、洗礼者ヨハネ、聖イボ(公証人の守護聖人)、聖ドメニコが並んでいる。

◉ジョヴァンニ・デル・ビオンド
1356〜98年の間に活動記録がある画家。オルカーニャの工房で修行したと考えられる。輝く色彩とどっしりとした人物像が特徴。フィレンツェに「国際ゴシック様式の新しい要素」を導入した人物とされる。
「受胎告知と聖人の多翼祭壇画」1380〜85年
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サンタ・マリア・ノヴェッラ教会のカヴァルカンティ礼拝堂のために描かれた。マリナルド・カヴァルカンティの未亡人(アッチャイオーリ家の女性)が夫のために描かせたため、両家の家紋が入っている。
壮麗なこの作品は保存の状態もよく、また全ての板絵が残っている(多翼祭壇画は後に解体され、ひとまとめに展示されていないことが多い)
中央の受胎告知はマリアの家の中が舞台となり、彼女の処女性のシンボルである「空のベッド」が見られる。マリアは使命を受けるジェスチャーとなっている。左右には多くの聖人たちがそれぞれのシンボルとともに描かれている。

◉ロレンツォ・ディ・ビッチ
ヴァザーリによればスピネッロ・アレティーノの元で修行した、オルカーニャやタッデオ・ガッディの作風の後継者。政治家で人文主義者であったニッコロ・ダ・ウッツァーノのお気に入りの画家でもあった。フィレンツェとその近郊に多くの作品を残した。

◉ロレンツォ・ディ・ニッコロ
ジェリーニの弟子で助手だが、長い間彼の息子でもあると考えられていた。1401年から単独で描いた作品が見られる。

◉マリオット・ディ・ナルド
オルカーニャの孫にあたるフィレンツェ後期ゴシックの画家。おそらくナルド・ディ・チオーネの息子。

◉スピネッロ・アレティーノ
14世紀後半にトスカーナ地方で活動した画家。1384年サン・ミニアート・アル・モンテ教会の聖具室にジョットに近い作風で「聖ベネデットの物語」を描いた。輝く色彩は後期には柔らかくなっていった。フィレンツェのサンタ・トリニタ教会やピサのカンポサントにも作品がある。
「聖ステファノ」1400〜05年
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彼の殉教の道具である医師が頭の上にあり、手には「神の子羊」の旗(フィレンツェでもっとも大きなアルテ、毛織物組合のシンボル)を持っている。スピネッロの後期の作品。

「王座の聖母と聖人の三翼祭壇画」1391年
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ルッカのサンタンドレーア教会にあった作品。アレティーノ工房の弟子の手が大部分に入っており、クオリティは低い。14世紀の終わりの10年、まだジョット風の描き方が影響を与えていたことがわかる作品。

参照 Galleria dell'Accademia, Giunti, Firenze 1999. ISBN 8809048806

アカデミア美術館のゴシック4

サンマルコ地区
09 /17 2017
ミケランジェロの彫刻で有名なフィレンツェのアカデミア美術館。
実は豊かなゴシック様式の絵画コレクションも展示しています。

Sala di Giovanni da Milano〜ジョヴァンニ・ダ・ミラノの部屋〜

◉チェンニ・ディ・フランチェスコ
14世紀の画家・細密画家で、確認されている最初の作品は1369年のもの。ミゼリコルディアの師匠やジョヴァンニ・ダ・ミラノの影響を受けている。ヴォルテッラのサン・フランチェスコ教会に描いた「聖十字架伝説」は、フィレンツェのサンタ・クローチェ教会にアニョロ・ガッディが残した同テーマからインスピレーションを得た。フィレンツェとそのコンタード(領地)に多くの作品を残す。

◉ジョッティーノ
ジョットの数多い弟子の一人。その名前ジョッティーノ(小さなジョット)と優れた才能からジョットの子供と考えられていた。ウッフィツィ美術館にある「ピエタ」はスクロヴェーニ礼拝堂のジョットのフレスコ画の構図を真似してある。

◉ジョヴァンニ・ダ・ミラノ
1346〜69年の頃にフィレンツェとミラノで活動した画家。ジョット派の変革者として知られる。
「ピエタ」
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修道院用に描かれた1365年の作品。国際ゴシック様式の先駆けとなる柔らかい色使いが見られ、保存の状態が悪いものの、この画家の代表作と考えられている。デリケートな自然表現は、当時のフィレンツェの他の画家の中でも抜きん出ている。マリアやマグダラのマリアの頬に流れる涙や、開いた口の中には歯列が表現されている。
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参照 Galleria dell'Accademia, Giunti, Firenze 1999. ISBN 8809048806

アカデミア美術館のゴシック3

サンマルコ地区
09 /16 2017
ミケランジェロの彫刻で有名なフィレンツェのアカデミア美術館。
実は豊かなゴシック様式の絵画コレクションも展示しています。

Sala degli Orcagna e dei loro seguaci〜オルカーニャと弟子の部屋〜
オルカーニャ(本名アンドレア・ディ・チオーネ)とその兄弟ナルド・ディ・チオーネやヤコポの作品が展示されています。

◉オルカーニャ
アンドレア・ピサーノとジョットに師事した画家で、1343年からフィレンツェで活動した。1355〜57年にオルサンミケーレ教会の現場監督を勤め、同教会のタベルナーコロを制作。同時期(1357年)に描いたサンタ・マリア・ノヴェッラ教会のストロッツィ礼拝堂祭壇画が代表作。サンタ・クローチェ教会のフレスコ画「死の勝利」やヴェッキオ宮殿の「アテネ公追放」なども有名。
「ペンテコステ」
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オルカーニャの末期の作品の一つで兄弟のヤコポとともに描いた。サンティ・アポストリ教会の主祭壇用にあったとヴァザーリが証言しているが、彼自身はスピネッロ・アレティーノの作品だと思っていた。角ばったボリュームや中心人物が正面を向いているなど、オルカーニャの作品の特徴が見られる。
ペンテコステは、聖霊降臨と呼ばれる新約聖書のエピソードの1つ。イエスの昇天から10日後、信徒たちが集まって祈っていると、激しい風のような音が聞こえ天から炎のような舌が一人ひとりの上に分かれて降った。この時から信徒たちはさまざまな国の言葉で語ることができるようになる。

◉ヤコポ・ディ・チオーネ
一生を通じ、兄のアンドレアと協力をして作品を描いた。ニッコロ・ディ・ピエトロ・ジェリーニと協力したこともある。

◉ナルド・ディ・チオーネ
ナルドは「レオナルド」を縮めた呼び方。アンドレアの兄弟で、彼らの父親は貴金属細工師だったと考えられている。強くジョットの影響を受けていて、代表作はフレスコ画「最後の審判」(サンタ・マリア・ノヴェッラ教会のストロッツィ礼拝堂)
「Thronum Gratiae三翼祭壇画」
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フィレンツェのサンタ・マリア・デリ・アンジェリ修道院のために描かれた1365年の作品。Thronum Gratiaeとはキリスト教のイコノグラフィーで「三位一体」を表現する様式。神が十字架にかけられたキリストに祝福を与える一方、両者の間に聖霊の鳩が飛ぶ形をとる。4人の兄弟画家の中で、ナルドがもっとも印象的な表現に秀でているとされる。

参照 Galleria dell'Accademia, Giunti, Firenze 1999. ISBN 8809048806

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。