フィレンツェのバラ園

フィレンツェ市
05 /18 2017
フィレンツェを一望することができるミケランジェロ広場からちょっと下った場所にバラ園があります。
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以前は春の短い期間だけ一般公開されていましたが、現在は1年中開いています(クリスマスと元旦は閉まります)

ミケランジェロ広場を建設したジュゼッペ・ポッジによって1865年に作られました。トリノからフィレンツェに遷都される予定を見越してフィレンツェ市から依頼を受けたものです。約1ヘクタールの土地にテラス状の庭を造り、町の素晴らしいパノラマを見えるようにしました。ポッジ大通りとサン・サルヴァドーレ通り、バスティオーニ通りに囲まれています。

元はオラトリオ修道会の神父たちが所有した小さい邸宅に隣接した庭で「サン・フランチェスコの農園」と呼ばれていました。
その後テラス型の庭に分割され、薔薇のコレクションが植えられます。

1895年、庭は例年5月に開催される「芸術と花の祭典」中に一般公開されることになりました。
庭のスタイルはフランス式庭園を真似てあります。ミケランジェロ広場の横、つまりに庭からみて高い位置に井戸を設置し、庭の灌漑に使っています。

1998年 日本の造園家、作庭家である北山 安夫によって一部に日本庭園を設えました。
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2011年 ベルギーのJean-Michel Folonのブロンズと石膏作品を展示。亡くなった彫刻家の妻からフィレンツェ市にプレゼントされた作品です。
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現在は370種類もの薔薇が咲き誇り、中には1500年代、ルネッサンス時代の種類の薔薇も見られます。

無料で入れるのでミケランジェロ広場に行くがてら、ちょっと立ち寄るのもいいですね。
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ヴェッキオ宮殿のキメラ

シニョーリア広場地区
05 /04 2017
フィレンツェで2017年3月27日〜4月27日に開催された「G7 della Cultura 文化のG7」というイベントの一環として、ヴェッキオ宮殿のレオ10世の間に「アレッツォのキメラ」が展示されました。
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キメラは、紀元前5〜4世紀の作品。普段はフィレンツェ考古学博物館に展示されています。

ブロンズ製のエトルリア美術作品で、1553年にアレッツォで発見され、すぐにトスカーナ大公であるメディチ家のコジモ1世のコレクションに加えられました。この時に彫刻家のバッチョ・バンディネッリがコジモ1世に作品の様子を伝えた手紙も展示されていて、簡単なキメラのイラスト付きになっています(見つかった当時は尻尾が取れていたそうです)
今回はコジモ1世の胸像(バンディネッリ作)と一緒に展示されています。
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コジモ1世はこの青銅像をヴェッキオ宮殿で公開したそうです。レオ10世の間に飾ることをアドヴァイスしたのはジョルジョ・ヴァザーリだったとか。
今回の展示はその歴史に沿ったものなのですね。
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キメラはギリシア神話の怪物で、キメラリュキアを荒らし回ったため、 ベレロポンによって退治されたとされます。
右の前足に刻まれた銘文は、エトルリア神話の最高神ティアナに捧げられた奉納品であることを示すTINSCVILという文字という説が有力です。

レオ10世の間の壁に映るキメラの影
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フィレンツェ考古学博物館はこの分野では、トリノの博物館に次いでイタリアで2番目の大きさを誇ります。
そのうちこの日記で紹介する予定です。

フィオレンティーナの新しいサッカースタジアム

フィレンツェ市
05 /03 2017
ヴェッキオ宮殿の地上階にフィオレンティーナの新しいサッカースタジアムのモデルが展示されていました。
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フィレンツェ中心街から4km、空港から近いノーヴォリ地区に建設されます。現在工事中のトラムと鉄道でもアクセス可能、45,000㎡のパーキングもできます。

4年後に完成予定…ということは2021年ごろ?(着工予定は2019年)
4万人収容可能。
また公園や広場、ショッピングセンター、ホテルも一緒に建設予定。

プロジェクトを見ると、柔らかいラインの美しいスタジアムです。
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ちなみに中心街とフィレンツェ空港をつなぐ(そしてスタジアムもつなぐことになる)トラムの工事は2018年完成予定。
どんどんと新しい姿になっていくフィレンツェですね。

救済された美

ドゥオーモ地区
04 /26 2017
前回に続き、メディチ・リッカルディ宮殿の中で行われていた展示会の様子をご紹介します。
題名は「Bellezza salvata Firenze 1966-2016( 救済された美 フィレンツェ)」です。
1966年11月4日に起きたフィレンツェ大洪水によって被害を受けた美術品で、修復が終わったものが展示されていました。
2016年12月1日〜3月26日が展示期間でしたが、延長されて4月17日まで。期間ギリギリで見学してきました。

こちらは水没の深さを示す地図です。
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一番深く、さらに広域に浸水したのがサンタクローチェ地区だとはっきりわかります。この範囲に国立中央図書館、バルジェッロやヴェルディ劇場、シナゴーグも入っています。

こちらはウッフィツィ美術館にて洪水の被害を受けた作品。
紀元2世紀のアントニウス・ピウス皇帝の妻の胸像です。元はカステッロのコルシーニ宮殿所蔵。
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バルジェッロ美術館の臼砲。16世紀の鉄製です。
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ドゥオーモ付属美術館より。聖歌隊用の楽譜です。
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楽譜は滲んでいますが、細密画の部分は明確に残っています。

考古学博物館より。エトルリア時代の骨壷。蓋の上で食事をしている人々の様子が素朴で微笑ましいです。
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エトルリア人はal di là(あの世)に行っても、現世と同じ生活があると信じてました。

こちらはシナゴーグから。
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フィレンツェのシナゴーグは1882年にトレヴェス、ファルチーニ、ミケーリの設計によって完成したもので、ユダヤ文化に触れることができる美術館が併設されいます。

こうやってフィレンツェ中心部の様々な場所から運ばれた美術品を見ていくと、50年前の洪水がどれだけ町を危機的状況に陥れたかわかります。中には修復の技術が進化したことによって、ようやく半世紀後に修復された作品もあります。

美術品は作り出すだけではなく、それを保存、修復していくのにも不断の努力が必要なんだな〜と実感しました。

死と再生の神アッティス

シニョーリア広場地区
04 /24 2017
ウッフィツィ美術館最上階の廊下に次のような古代彫刻が設置されています。
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不思議な服装をしています。この服、他の芸術家の作品でも見たことがあるような…?

2世紀頃に彫られたこの作品の名前は「Attis」
アッティス!そういえばバルジェッロ美術館に展示されているドナテッロの作品に同名のものがあるはず。
ドナテッロの作品がこちら。
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ドナテッロの方は「アモル」あるいは「アッティス」となっていますので、テーマが明確ではないのですが、確かに服装が似ています。

もともとアッティスはフリギア(トルコ)の死と再生を司る神です。
次第にギリシャや古代ローマにもアッティス信仰が広まって行ったとか。
アッティスは素晴らしい美しさを持った若い羊飼いでした。キュベレ(小アジアの豊穣と大地の女神)に愛され、純潔の誓いを破った罰に松に変身させられます(正気を失って自ら去勢し、松として蘇るという劇的な展開です)
「衰えも滅びもしないもの」=「常緑樹である松」死と再生の神と呼ばれる所以です。しかし時代、地域によってアッティスの神話は変化が見られます。
アッティスは有翼の男性だったり、ライオンが牽引するキュベレの戦車の御者の姿としても表現されることがあります。

参照 「Uffizi Le sculture antiche」Giunti

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。