パルミラのアーチ

イベントレポート
04 /13 2017
シニョーリア広場にパルミラのアーチ Arco di Palmira が設置されました。
フィレンツェで行われるカルチャーG7というイベントの一環です。
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2015年、シリアのパルミラ考古学地区を占領したISISは、考古学地区の責任者を殺害した上、大変価値のある文化歴遺産を破壊していきました。
パルミラのアーチは紀元2世紀の頃に建設された凱旋門で、ローマ帝国のセプティミウス・セウェルス皇帝に捧げられたものでした。

ユネスコの世界遺産にも指定されていたパルミラは「再生」「再建」のシンボルとなります。

シニョーリア広場のアーチはオリジナルの完璧な複製です。
世界の文化遺産を守るためのプロジェクト「The Million Image Database」から、新テクノロジーによって実現しました。

設置したのはTorartというカッラーラ(ピサの北、大理石が採れる土地)の、彫刻を扱う企業です。
Torartが使用する大理石や硬質のマテリアルを扱う新しいテクノロジーは、修復の世界にも利用することが可能だとされています。作品の詳細まで復元することができます。

シニョーリア広場にアーチを見ることができるのは2017年3月27日〜4月27日の期間です。

参照 musefirenze
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F-LIGHT - Firenze Light Festival 2015

イベントレポート
12 /07 2015
フィレンツェ市主催「F-LIGHT - Firenze Light Festival 2015」は、フィレンツェの夜の街を美しいイルミネーションで彩るイベントです。
2011年に始まり今年で5回目となる催し物で、開催期間は2015年12月8〜27日です。
イベントは8日にフィレンツェ市長のナルデッラがドゥオーモ広場のクリスマスツリーに明かりを灯す式典から始まります。
ドゥオーモからヴェッキオ宮殿、ヴェッキオ橋、アルノ川の向こう岸まで様々な建築が、色とりどりの光で演出されます。



細かいプログラムはこちらを参考にしてください。
FLight Firenze

こちらのイベントの様子の映像を撮ることができましたら、この日記でご紹介しますね。

特別展は演出の見せどころ

イベントレポート
08 /22 2014
フィレンツェの美術館では、通常展示の他に期間限定の特別展をやっているところが多くなっています。
特別展が始まると入場料が高くなり「通常展示だけでいいのに…」と思っても、強制的に特別展料金もとられてしまいます。

美術館のもうける手段となっていることは否めないのですが…

しかし特別展では、外国の美術館に展示されているものから個人のコレクションに入っている作品まで、普段は目にすることができない作品もあります。画家の知らなかった側面を知ることもできて、非常に興味深いものになっています。

そして特別展で楽しいのは展示方法です。

ライトのあて方で作品の雰囲気がすっかり変わったり、展示するテーマのまとめ方で他の作品と関連づけて見ることができたりします。
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こちらではライトアップされることによって、聖人の服の赤い色が暗闇の中に印象的に浮かび上がっています。
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実は特別展では、フィレンツェの他の美術館の作品を移設して展示することも多いのです。
しかし展示方法や場所が違うだけで、ここまで違って見えるのかとはっとさせられることがあります。
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例えばこの作品はウッフィツィ美術館の特別展に展示されていました。
普段はパラティーナ美術館にある16世紀のアンドレア・デル・サルトの「受胎告知」です。
いつもは扉の上に展示されていて、気がつかないで通り過ぎることが多いのです。
しかし中央上からのライトアップによって、精霊がマリアさまに降りてくる神秘さがいっそう強調されて、印象的な作品であることがわかります。
ですから、いつも見ている作品を移設しただけじゃないの?と野暮なことを言わずに楽しむことにしています。

スペインからの留学生ベルゲーテ

イベントレポート
03 /30 2013
フィレンツェのウッフィツィ美術館にて特別展「norma e capriccio」が2013年3月5日〜26日まで行われています。英語名は「rule and fancy」です。

マニエリスムと呼ばれるルネサンス後期の美術がありました。イタリアを中心に盛期ルネサンスとバロックの合間に見られ、名前は「マニエラ(手法、様式)」という言葉に由来します。
ミケランジェロの人体を引き延ばして捻るマニエラに学び、それを発展させていきました。

このマニエリスムは当時は「モダンアート」と考えられていましたので、外国人の芸術家もイタリアに留学してこれを学んだのです。
ウッフィツィ美術館の特別展は、その中でもスペイン人の留学生を扱ったものです。
特に著名なのがアロンソ・ベルゲーテで、スペイン・ルネサンスで最も重要な彫刻家と見なされています。
その情緒的な彫刻群以外に、絵画や建築も残しています。
「サロメ」
ベルゲーテ

ベルゲーテは主にフィレンツェやローマで絵の勉強をし、巨匠ミケランジェロの下で彫刻も学んだそうです。
ベルゲーテがイタリアで描いた絵はマニエリスムの影響が見られ、ヤコポ・ダ・ポントルモやロッソ・フィオレンティーノといった同時代の画家たちとの絵と比較されます。

特別展ではフィレンツェの芸術家とスペイン人留学生の芸術家の作品が並んで展示されています。

巨匠たちの磔刑像

イベントレポート
11 /20 2012
文化環境遺産省のイベントであるFlorens2012、オブジェ化したサンタクローチェ教会と大聖堂広場を紹介しましたが、実はもう一カ所あったのです。

サンジョヴァンニ洗礼堂に3体の磔刑像が並んで展示されました。
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製作年代  制作者        通常展示場所
1406-1408 ドナテッロ(20-22歳)サンタクローチェ教会
1412    ブルネレスキ(35歳) サンタマリアノヴェッラ教会
1493    ミケランジェロ(18歳)サントスピリト教会

普段は別々の教会に展示されている磔刑像を見比べることのできるチャンス!ブルネレスキミケランジェロの作品は普段は撮影ができない場所にあり、ドナテッロの作品も近くで見ることができません。そのうえ無料ということで、連日たくさんの人が列をなして見学にきていました。

ブルネレスキから「百姓」と酷評されたドナテッロのイエス
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近くでみると胸部がかなり厚くなっています。ちょっとせむしっぽい?そしてよく見ると右腕が根元から外れるようになっています。
このような木彫りの磔刑像は、十字架から降ろして他の木彫り像と合わせて、イエスが十字架から降ろされた場面を再現することがあったのですが、そのような使いかたをするためなのか?それとも他の理由があったのか?

ドナテッロに「百姓ではなく本当に神の子」と絶賛されたブルネレスキの作品
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実は他の二人のガイドと一緒に見学したのですが、3体の中でこの作品が「一番美しい」と意見一致をみました。
肉体のバランス、筋肉のつき方が美しいのです。これはライトアップされることによって浮き上がる陰影でいつもよりも筋肉がはっきりと見えたおかげだと思います。
苦しみのためにこわばった脚の筋肉が生々しい…
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そしてミケランジェロの若い頃の作品とされるこちらに作品
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若い頃の作品とはいえ、ミケランジェロのいつもの作風とかけ離れすぎています。
筋肉がそげ落ちたような容貌は清貧さを表しているようにも見えますが、それにしても肋骨などの表現が乏しいのっぺりした感じです。でも18歳の時の作品だとすれば、大したものです。
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ところでいつも見ることができないのがこちら
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十字架の裏側です。ドナテッロミケランジェロの作品は十字架にそってイエスの背中があるので、臀部が見えません。ところがブルネレスキの作品だけは、イエスが身体をよじっているので臀部が十字架の後ろからもはっきり見えるのです。ブルネレスキは何の意図をもって尻を十字架の外にはみ出るように彫ったのか?十字架の裏側は普段に視界に入らない部分、そこまで彫ったのはなぜか?そのほうが自然なポーズだったのか?疑問が疑問を呼びます。

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。