エルサレム神殿の破壊

ヴェネツィア
03 /23 2018
ヴェネツィアのアカデミア美術館で行われている彫刻家カノーヴァと画家アイエツの特別展について書きましたが、今日は同美術館に通常展示されているアイエツの大きな作品を紹介します。

「エルサレム神殿の破壊」1867年 フランチェスコ・アイエツ作
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貧しい家に育ったアイエツは、1809年ヴェネツィアのアカデミア美術館主宰のコンペティションに入賞し、ローマのアッカデミア・ディ・サン・ルーカで1年間学ぶことになりました。
この作品は後年になってアイエツからアカデミア美術館に寄贈されたものです。

かなり大きな画面で展示室の一方の壁に単独で展示されています。
近寄って鑑賞すると…
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細かく描写されています。それぞれの人間のドラマがあって画面から阿鼻叫喚の声が聞こえてきそうです。
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アイエツといえば滑らかな色彩の仕上げの印象が強いのですが、ここでは一部の人物の塗りがわざと薄くしてあって、火災の中で煙に霞む様子が表現されています。

思わず長く立ち止まって細部を眺めてしまう作品です。
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「ヴェネツィア最後の栄光」展

ヴェネツィア
03 /22 2018
ヴェネツィアのアカデミア美術館にて「ヴェネツィア最後の栄光 カノーヴァ、アイエツ、チコニャーラ」展が行われています(2018年4月2日まで)

アカデミア美術館創設200周年を記念して100点もの作品を、10のテーマに分けた部屋に展示しています。

◉レオポルド・チコニャーラ男爵
1767年にフェッラーラで生まれた美術歴史家であり、書誌学者、政治家。ローマ、フィレンツェ、ミラノ、ボローニャ、ヴェネツィアで美術品を収集しました。
1795年トリノにおけるチザルピーナ共和国(ナポレオンによってイタリア北部につくられたフランスの衛星国)全権大使に任命され、1808年にはヴェネツィアの美術アカデミー校長に任命されています。アカデミア教授の数を増やしたり、授業の質を上げたりと努力しました。
アカデミア美術館はセレニッシマ(ヴェネツィア共和国)によって1750年に開設されていましたが、最初は教育と修復が主な目的でした。ナポレオン支配のもとで多くの修道院や信心会が廃止されると、これらの場所から美術館に多くの作品が移されます。こうしてチコニャーラの指揮のもとにヴェネツィア絵画を中心とした現在のアカデミア美術館の核ができたのです。

1818年の神聖ローマ帝国最後のローマ皇帝フランツ2世の結婚式のためにウィーンに移された作品も200年の時を経て、この特別展のために初めてヴェネツィアに帰還しています。

ヴェネツィアグラスと貴石でできたテーブル。フランツ2世の結婚のお祝いに贈られた作品。
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そして19世紀の重要な二人の芸術家の作品が中心の展示会になっています。
チコニャーラの友人であった彫刻家アントニオ・カノーヴァ
チコニャーラ校長時代にアカデミアで絵画を学びコンクールで優勝して奨学金を得た画家フランチェスコ・アイエツ

カノーヴァ作「ポリュムニアー(ギリシア神話の女神、ムーサの1人で、讃歌と雄弁を司る)」を中心に設置した部屋。
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カノーヴァ作「ヘレナの理想的な頭部」新古典主義の理想的形態は美しく完璧。
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カノーヴァ作「ナポレオンの頭部」
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アイエツ作「リナルドとアルミダ」
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アイエツ自画像。
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アイエツって若い時はこんな感じだったんですね。
↓ いつも見慣れたウッフィツィ美術館の自画像がこちら。
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19世紀初期の新古典主義、ロマン主義の作品を鑑賞することができる展示会。ヴェネツィアのアカデミア美術館に立ち寄ったら、特別展代も料金に含まれているので、立ち寄って観てください(正直、ヴェネツィアルネッサンスの部屋だけでお腹いっぱいになりますけどね)

ヴェネツィアのマニーノ・マリーニ展

ヴェネツィア
03 /21 2018
ヴェネツィアのグッゲンハイム美術館にてイタリア人芸術家マリーノ・マリーニ展が行われていました。
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マリノ・マリーニはトスカーナ州ピストイアで1901年に生まれた彫刻家・画家・版画家です。馬に乗り、腕を広げた男性をかたどった彫刻で有名です。

彼はフィレンツェで絵画と彫刻を学び、エトルリア文化の影響を受けました。この特別展ではエトルリアの作品と並べて比較もできるようになっています。

左がエトルリア人の石棺の蓋の装飾。右がマリーニの作品です。
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左からルネッサンス時代のヴェロッキオの作品、エトルリアの骨壷、マリーニ作の胸像
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1929年からミラノ近くの美術学校で教えはじめたマリーニは、馬と騎手の彫刻を制作しはじめます。
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ミラノのブレーラ美術学校で教えたり、ヴェネツィア・ビエンナーレでグランプリを受賞したり、国際的に有名な芸術家となります。

こちらは特別展の様子ですが、ピストイアとフィレンツェには常設のマリーノ・マリーニ美術館がありますので、現代彫刻に興味がある方は立ち寄ってみてください。素朴な造形の作品群は独特の味わいがあります。
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エトルリアの作品には妙に近代彫刻的な味わいがあるのですが、マリーニの作品を見ているとエトルリアと現代がさらに繋がる感覚が持てます。

ヴェネツィアのペギー・グッゲンハイム・コレクション

ヴェネツィア
03 /19 2018
ヴェネツィアのカナル・グランデ沿い(サン・マルコ広場と反対岸)に位置するペギー・グッゲンハイム・コレクションは、アメリカ合衆国の美術品蒐集家ソロモン・ロバート・グッゲンハイムの美術館の一つです。

カナル・グランデ側から見た美術館
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ソロモンの姪ペギー・グッゲンハイムが収集した20世紀前半美術のコレクションを鑑賞することができます。キュビスム・シュルレアリスム・未来派などで、ピカソ、クレー、カンディンスキー、ダリ、マグリット、ミロ、シャガール、モンドリアン、デュシャン、ポロック、マリノ・マリーニなどの作品が並んでいます。

18世紀に建設された邸宅の中に美術館があります。
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ヴェネツィアの中でこんなに大きな庭があるのが不思議です。

マグリットの作品。日本での特別展で観たような気がします。
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ペギーの娘さんの作品が並んでいる部屋がありました。窓の向こうがカナル・グランデ。
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こんな風に暖炉の上にある作品をソファーに座って鑑賞したり
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古そうなテーブルの上に設置されていたり、個人の邸宅に中で鑑賞しているような気分になれる美術館です。
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こちらはベッドの頭の部分に設置するオブジェ。海がテーマで可愛い!
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イタリアの画家アメデオ・モディリアーニの作品。フィレンツェのおじいちゃんガイドにモディリアーニのお孫さんがいたけれど、今頃どうしているかな?
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隠れ家みたいな美術館カフェ。ヴェネツィアの移動手段は船か徒歩。疲れたらこんな場所でゆっくりしたいですね。
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マリア様の王冠 サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会

ヴェネツィア
08 /02 2017
ヴェネツィアのサンマルコ広場の対岸にあって非常に目立つ教会があります。
サルーテ教会
Santa Maria della Salute(サンタ・マリア・デッラ・サルーテ)教会
「サルーテ」という言葉には「健康、救い、安全、無事」といった意味があります。
プンタ・デッラ・ドガーナ地区のヴェネツィアバロック建築の代表的な教会です。

この教会は1630〜31年に流行したペストからの解放を祝して、マリア様へのex voto(奉納物)として建設されました。
この流行病ははマントヴァ公国の大使によってヴェネツィアにもたらされたものだったとか。すでにペストが流行っていたマントヴァから助けを求めてやってきた大使は離島に隔離されましたが、その処置にもかかわらずヴェネツィアでもペストが大流行してしまいました。
このペストで8万人ものヴェネツィア人が亡くなり、それは人口の4分の1を超えるほどだったとか。
(ヴェネツィア共和国Serenissimaの領土では全部で60万人も死んでいます)
ペストが治ることをマリア様に祈願する大行進が行われれ、それから状況が収まりはじめたので、感謝の印に大きな聖堂の建設が決まったのです。

建築はバルダッサーレ・ロンゲーナに委任され、マリア様に捧げる「王冠」の形(八角形)を平面図に持ちます。
教会の聖別は1687年に行われました。

毎年11月21日にヴェネツィアでは「マドンナ・デッラ・サルーテの祭り」行われます。
この日、人々はサン・マルコから橋を渡りサルーテ教会に詣るのです。運河を渡るために、何世紀もの間、船を繋げていましたが、現在では人口の浮島の上に仮設の橋が設けられます。
この日、サルーテ教会は1日中開いていて、途切れることなくミサが行われるのです。

ヴェネツィアの守護聖人サン・マルコの祝日は4月25日なのですが、この日はイタリア解放記念日に当たります。このように祝日が重なる場合、イタリアでは他の日に町の守護聖人の祝日を設けることができます。そこでヴェネツィア市は11月21日を選びました。
11月21日はヴェネツィア市民にとって重要な日なのですね。

参照 Venezia, Guida d'Italia del Touring Club Italiano, 3ª edizione, ISBN 978-88-365-4347-2

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住25年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。