ゴルジャ・トスカーナ

イタリア語の愉しみ
05 /15 2017
gorgia toscanaは音声上の現象で、トスカーナ地方の方言に見られる発音です。
ゴルジャとはもともと「のど」の意味です。「トスカーナの喉」とは…

本来は[k][t][p][g]であるべき音が母音に挟まれるときに、それぞれ [h][θ] [ɸ] [ɣ]で発音される現象を表します。

[k] → [h] 英語でのhaveのh、日本語での「ハ」「ヘ」「ホ」声門から出される無声の摩擦音
[t] → [θ] 英語のth 舌端と歯で隙間を作り、そこに空気を通して生じる摩擦の音
[p] → [ɸ] 日本語の「フ」両唇で調音される摩擦音
[g] → [ɣ] 日本語では母音の後ろのガ行の子音、後舌と軟口蓋で調音される有声の摩擦音

例えばidentificare(本人であることを確認する、鑑定する)という動詞は「identifiˈkare イデンティフィカーレ」と発音するのが普通ですが、トスカーナ方言では「iˌdentifiˈhaːre イデンティフィハーレ」と発音するのです。

よく「cocacola con colto colto cannuccia コカコーラ・コン・コルト・コルト・カンヌッチャ(短い短いストロー付きのコカコーラ」をフィレンツェ人は「ホハホーラ・ホルト・ホルト・ハンヌッチャ」と発音すると茶化したりします。

この発音のくせは特にフィレンツェとシエナで見られるということです。
(トスカーナといっても広いので、トスカーナの中だけでもフィレンツェ、ピサ、リヴォルノ、アレッツォなどですでに方言の違いが見られます)

またゴルジャ・トスカーナは古代民族エトルリアの言語に由来するものと長い間考えられてきましたが、どうやら16世紀以降に見られることから、現在はエトルリア由来の説は否定されています。

イタリア全土の方言巡り動画
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月桂冠 古代ローマ将軍から大学卒業生まで

イタリア語の愉しみ
02 /05 2017
勝利の冠(ラテン語でcorona triumphalis)は、月桂冠(ラテン語 laurea insignis)とも呼ばれます。
絵の中だとローマ帝国の将軍や文学界で活躍した人物が頭の上に乗せています。
またイタリアでは大学を卒業した祝いに月桂冠を頭に飾ります。

ローマ共和制と帝政時に栄誉の印として、凱旋した将軍に与えられました。
将軍が皇帝から拍手喝采され迎え入れられる時に月桂冠を被っていたのです。その後、月桂冠を形取った金の冠が与えられました。
そして金の冠を頭に勝利の凱旋を練り歩いたのです。行進の間は将軍の頭の上に冠を支える奴隷がいて、メメントモリ(死ななければいけないことを覚えていなさい)を詠唱するのが慣習でした。栄誉も一時のことであるということを、将軍に忠告するためでした。
また元老院から発令された場合は、古代ローマの属州(プロウィンキア)から3つ目の冠(金)が贈られることになってました(そういえば今でもイタリアでは県のことをプロヴィンチャと呼ぶのですが、プロウィンキアから来ているのでしょうか)

もともと月桂冠の習慣はヘレニズム時代、アレクサンダー大王の時代から続くものです。
古代ギリシャのオリンピックでは月桂樹ではなくオリーブの冠を使っていましたが、他のスポーツの祭典では勝利者に月桂冠を与えていました。ローマ帝政期に入ると皇帝用になったそうです。

中世の時代には詩の中で「栄誉のシンボル」として「月桂冠」が扱われるようになり、ここから絵画や彫刻では偉大な詩人の頭に月桂冠を表現するようになっていきました。

上に書いたように月桂冠はラテン語では「laurus」か「laurĕa」と呼びますが、これは月桂樹を表す言葉でもあり、そのまま「栄光」「名誉」という意味まで広がっています。
ここから由来してイタリアでは大学卒業生を「laurea ラウレア」とか「laureato ラウレアート」と呼ぶのです。

参照 corona trionfale

Aristos!

イタリア語の愉しみ
02 /01 2017
「arista アリスタ」とは豚の背中の部分を使った肉料理です。
串焼きにするかオーブンで焼き、ニンニクと胡椒とローズマリーで味付けするトスカーナ地方の馴染みの料理。
アリスタ
この肉料理の名前「アリスタ」に関して、ある伝説があります。

1439年にフィレンツェで公会議(キリスト教において全世界の教会から司教等が集まり、教義・典礼・教会法などについて審議決定する最高会議)が開催されました。メディチ家のコジモの意向によるものです。

晩餐会の時にギリシャの司教がローストポークを食べて「Aristos! 最高だ!」と叫んだので、フィレンツェ人はこの料理をギリシャではそのように呼ぶのだと考えました。その発音が親しみやすかったので、「Aristos, Aristos」と繰り返し呼び、アリスタの名前になったそうです。

しかしこれは伝説で、すでに1287年には「アリスタ」と呼ばれる料理の記録があり、14世紀末の小説にも「釜で焼いたアリスタ」の名前が出てくるそうです。

参照 taccuinistorici

ラッファエッロの名前の由来

イタリア語の愉しみ
01 /31 2017
ルネッサンスの三大巨匠といえば、レオナルド、ミケランジェロ、ラッファエッロです。
前回はミケランジェロの名前の由来について書きましたが、今回はラッファエッロ・サンツィオの名前について書きたいと思います。
ラッファエッロ
レオナルド・ダ・ヴィンチは「ヴィンチ村から来たレオナルド」で、そのままの意味ですから割愛します。

大天使ミカエルにちなんだミケランジェロの名前と同じく「ラッファエッロ」も大天使ラファエルから来ています。
それではラッファエッロの苗字「サンツィオ」はどのような由来があるのでしょう。

これはラテン語の「sanctus(聖なる、崇敬するに足る)」から来ている言葉で、イタリア語の「santo(聖人、聖なる)」が訛ったものです。中世からはサントや複数形のサンティがキリスト教の世界で苗字として使われるようになっていきました。南イタリアよりも北部と中部イタリア地方に見られました。

サンツィオ以外にも
サントン(ヴェネツィア地方)
サントーネ(キエーティ地方、カンポバッソ地方)
サントーニ(トレント地方、中部イタリア)
と言った名前が、「サント」に由来する苗字だそうです。

大天使ラファエル+聖人、ラッファエッロの名前はキリスト教にがっちり結びついているんですね。

参照 significato

ミケランジェロの名前の由来

イタリア語の愉しみ
01 /30 2017
ルネッサンスの巨匠ミケランジェロ・ブオナッローティ。
彼の名前の意味について調べてみました。
ピエタ
「ミケランジェロ」はもちろん大天使ミカエルのこと。
ミケエレ(ミカエル)+アンジェロ(天使)=ミケランジェロですね。
17世紀の画家カラヴァッジョも本名はミケランジェロ・メリーズィです。

ちなみに毎年3月6日(ミケランジェロの誕生日)に始動するようにプログラムされたコンピューターウィルスに「ミケランジェロ」という名前がつけられているそうですよ。

そして苗字「ブオナッローティ」
こちらは家族に新しいメンバーが加わることを感謝する言葉から来ているんだそうです。
buona ruota 直訳すると「良い車輪」となりますが、家系を継続させる一部になるということなんでしょうか。

参照 Significato

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。