タラントの壺

ピサ県
06 /15 2017
ピサ大聖堂の裏側、斜塔の写真を間近に撮りやすい場所に、とても邪魔な壺があります。
タラントの壺
円柱の上にあるのは古代ローマ風の壺。
昔は古代ローマ帝国の力のシンボルとして、もっと大きなモニュメントだったそうです。
伝説によれば、酒神バッカスのモチーフが彫られた壺は、ローマ皇帝がピサに贈ったもの。納付金を計るためのタラント(古代ヘブライ、古代ギリシアの貨幣単位、または古代の重量単位)の壺だというのです。

1320年にルーポ・ディ・フランチェスコ(ジョヴァンニ・ピサーノの弟子)によって、赤い斑岩の円柱の上にアッティカ風のベースを設置し、壺を組み合わせるモニュメントが作られました。
円柱の上部はコンポジット式(イオニア式とコリント式を混合した様式)で、アバクス(円柱頭部につく板)には壺の歴史を語る碑文が刻まれていたそうです。
アバクスの上にはさらに大理石のライオンが設置され、その背中に小さな円柱、最上部にタラントの壺があったのです。

1595年の大聖堂の火事(この時に大聖堂の天井も焼けています)にて、モニュメントは解体され、シンプルなヴァージョンに置き換えられました。
現在、赤い斑岩の円柱はカンポサントの中に置かれ、ライオンは洗礼堂の書見台のベースに使われています。
大聖堂外部にはタラントの壺のコピーが設置され、オリジナルは大聖堂財産管理委員会の倉庫にあるそうです。

ちなみにタラントはイタリア語ではtalento、「その能力に応じてタレントをもらう」ということから、英語のtalent(才能、能力)の語源となっているそうです。

参照 oscana, Touring Club Italiano, Milano 1999
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。