アカデミア美術館のゴシック6

サンマルコ地区
09 /19 2017
ミケランジェロの彫刻で有名なフィレンツェのアカデミア美術館。
実は豊かなゴシック様式の絵画コレクションも展示しています。
ゴシックの作品を部屋ごとにご紹介。

Sala di Lorenzo Monaco〜ロレンツォ・モナコの部屋〜
◉ロレンツォ・モナコ
1391年にフィレンツェのサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会のカマルドリ修道院に入った画僧です。14世紀後期〜15世紀はじめの国際ゴシック様式で、ギベルティやスタルニーナの影響も伺えます。フラ・アンジェリコの師匠でした。
「受胎告知の三翼祭壇画」1410〜15年
a-gotico16
今は存在しないサン・プロコーロ教会にありました。天使の出現に驚いて身をよじるポーズはシエナのシモーネ・マルティーニの作品を彷彿とさせます。明るく輝く色彩や伸びる形態は国際ゴシックの特徴。

受胎告知の左には聖人の大アントニオス(Santo Antonio abate)の姿が見えます。
3世紀のエジプトで生まれ敬虔な両親にキリスト教徒としての教育を受けました。両親の死後、財産を貧しい者に与えて、自らは砂漠に籠もり苦行生活をしたため、修道士生活の創始者とされます。

ちなみに麦角菌中毒をヨーロッパで「聖アントニウスの火」と呼びます。ライ麦をはじめ小麦、大麦、エンバクなど多くの穀物に寄生する菌で、感染すると手足が燃えるような感覚を与えるそうです。
大アントニオスに祈ることで治癒されると信じられていました。

この作品でも聖アントニオの足元に小さな豚が描かれています。これは聖アントニオ修道院で飼われていた豚で、修道僧たちは豚の油から軟膏を生産し、麦角菌中毒の薬に使っていました。
a-gotico15

参照 Galleria dell'Accademia, Giunti, Firenze 1999. ISBN 8809048806

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。