矢に刺されていない聖セバスチャンなんて

シエナ県
11 /04 2013
トスカーナ州のシエナ県、サン・ジミャーノの町にサンタゴスティーノ教会があります。
観光バスで行くと、サン・ジョバンニ門側の駐車場で降りてメインストリートを歩いて大聖堂広場までのルートで観光が終わります。
サンタゴスティーノの教会は町の反対側なので、日本人のグループがこの教会を訪れることはとても珍しいのです。

ただ、反対側と言っても町自体が小さいので、大聖堂広場から10分ほどで歩いて行けます。

この教会にはフィレンツェのルネサンス時代の画家ベノッツォ・ゴッツォリのフレスコ画があります。
ゴッツォリはフィレンツェのメディチ・リッカルディ宮殿の礼拝堂に美しい「東方三博士」のフレスコ画を残したことで知られています。

サンタゴスティーノ教会の後塵のフレスコ画も彼の作品ですが、ここでは教会左壁のこの作品を紹介します。
san sebastiano2
説教壇の左の絵。真中に青い洋服の人物がいます。
一瞬、イエス・キリスト?とみえますが、その周囲に天使と折られた矢があるんです。
「矢」と言えば、聖セバスチャンですね。
キリスト教迫害時代に矢に刺されても死ななかったという伝説が残る聖人で、この「矢」が「疫病」と考えられ、聖セバスチャンは「疫病から守ってくれる聖人」として、中世の時代には人々の信仰の的になりました。
この絵でも、人々が聖セバスチャンに祈りを捧げている様子になっています。

しかし聖セバスチャンは上半身裸で矢に突き刺されている姿で描かれることが多いので、このような洋服を着ている図はとても珍しいものです。
サン・ジミニャーノの大聖堂(コレッジャータ)のコントロファッチャータ(教会正面の壁の裏側)に、同じベノッツォ・ゴッツォリの筆により、聖セバスチャンが描かれているのですが、こちらは定番の姿です。
san sebastiano1
聖セバスチャンの身体に突き刺さる矢の数は、中世の時代には多く、15世紀ぐらいになると減っていきます。
ゴッツォリは15世紀の画家ですが、コレッジャータの絵はまだ中世の図像に従っていますね。
これは、小都市では大都市の流行よりも中世風のモチーフが好まれて注文されるという傾向の現れなのかもしれません。

聖セバスチャンに関しての記事はこちら艶かしい聖セバスチャン
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。