剪定された塔型住居

ちょっとかじる歴史の話
12 /11 2013
中世の時代に多く建てられた「塔型住居 (case torri)」
その上部を取り壊して、塔を低くすることがありました。
これを「scapitozzare スカピトッツァーレ」と言います。
「s-」は「分離」の意味の接頭語、「capo」は「頭」
スカピトッツァーレは普通は「樹木を剪定する、刈り込む」と言う意味なのですが、塔型住居を低くすることも同じ単語を使うのです。
トッレ3

この工事を行うことによって、一つの都市内の塔型住居を同じレベルの高さにしました。
これは「景観を守る」という現代的な理由ではなく、「安全」のためです。

町の中でも闘争が耐えなかった時代、塔の上からは煮えたぎった油や石を落して外敵を追い払いました。高ければ高いほど効力がある、つまり殺傷力が上がったのです。
一族郎党で何本もの塔を建て、その間に木製の橋を渡して繋いでいました。こうして一族が協力して、時には数日にもわたる闘争に立ち向かいました。
グエルフィ派(ローマ法王派)とギッベリーニ派(神聖ローマ皇帝派)の戦いは、都市ではある意味、空中戦だったのです。

また塔の高さは「権力の象徴」ともされたため、なるべく他人よりも高い塔をつくろうとの競争もあったので、どんどんと高い塔が建築されます。

「殺傷力の向上」「権力の象徴」2つの目的をもって高くなる傾向があった塔方住居。
現代のように建築技術が発展していなかった時代に、高層住宅は崩れる危険もありました。都市国家政府は安全のため、これにリミットを設ける必要がありました。

傾いてしまったボローニャの塔
トッレ2

こうして塔型住居は「剪定」されることになったのです。
トッレ1
塔型住居は他の建築物に吸収されるような姿で現在も保存されているものが多いです。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。