ミケランジェロが設計したラウレンツィアーナ図書館 その2

フィレンツェ市
04 /25 2014
ラウレンツィアーナ図書館、今日は「vestibolo 玄関の間」についてまとめたいと思います。
ヴェスティーボロは四角い空間で、大部分を階段が占めています。天井が高く垂直生が強調された部屋です。
biblioteca L1
最初のミケランジェロの計画では天井はもっと低くく閲覧室に合わせた高さで、壁に窓をつくるのが難しかったことから、天窓から明かりをとることになっていました。天窓をつけるこの計画はローマ法王から反対され、ミケランジェロは壁に高さを出すことによって、壁の上部に窓をつけることにします。

外部から見ると左の閲覧室より右の玄関のほうが天井が高いことがわかります。
bi lau3
玄関の間は20世紀初期まで未完のまま残されます。天井に関しては工事を実際に担当したアンマンナーティは1559年までミケランジェロの設計図を待っていたようです。しかし天井は小屋組み(capriata)のまま残され、結局はボローニャ出身の芸術家ジャコモ・ロッリの描いたキャンバス地によって覆われました。閲覧室の天井を真似た、だまし絵になっています。

19世紀ごろの天井の様子
玄関の間


壁は外部が2層になっているのに合わせた内装です。各部分が機能性から離れた、彫刻作品のようになっています。
bi lau1
例えば2つ並んだ円柱は壁の中に埋もれていますし、外の空間に通じていない窓、浅くて何も設置されていない壁龕が壁の上に浮遊しているかのように並んでいます。
白い漆喰と灰色の砂岩の2色のコントラストは、ブルネレスキの作品から見られるフィレンツェルネッサンスの伝統です。
明るい閲覧室に対して、影の中に沈む込むような玄関の間に関して様々な学説が立てられてきました。
機能を持たない建築という矛盾した性質、強くダイナミックな造形要素はマニエリズム建築の特色です。

閲覧室と玄関の間を繋ぐのが大きな階段です。
この有名な階段は1559年にミケランジェロによって設計され、最初はクルミの木材を使う予定となっていましたが、メディチ家のコジモ1世の希望によりアンマンナーティが灰色砂岩で完成しました。
scale
そのあとヨーロッパ中に広まっていくバロック様式を先取りしています。
左右の階段は直線でルネッサンス様式ですが、中央の階段は楕円形を重ねており、石が溶け流れていくかのようなイメージがあります。これがミケランジェロのオリジナル性です。この曲線はこの後、メディチ家礼拝堂の新聖具室やサンタトリニタ橋にも使われることになります。固い欄干によって押しとどめられた生きた存在が中央部分から溢れ出ているイメージがあります。
bi L2

bi L3

参照
Franca Arduini, Biblioteca Medicea Laurenziana: come un'istituzione antica ha progettato il suo futuro, in "Biblioteche oggi", vol. XXVIII, n. 5, giugno 2010
Marta Alvarez Gonzáles, Michelangelo, Mondadori Arte, Milano 2007.
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。