プラート大聖堂美術館(3)ボッティチェッリからフェッルッチまで

その他のトスカーナ地方
05 /13 2014
プラート大聖堂付属美術館(Il Museo dell'Opera del Duomo di Prato)にある主な作品を紹介していくシリーズ第三弾です。
ドナテッロとフィリッポ・リッピの大作を見ましたので、今回はそれ以外の作品をご紹介します。

◉サント・ステファノ教会(プラート大聖堂)の掛け布
大聖堂の主祭壇にかける布地です。赤いビロードと金糸がはいった織物に様々な模様が豊かに刺繍されています。
上部は上級天使をつなぐように花輪のモチーフがあり、その上には「信仰、希望。慈愛、正義」の美徳像が腰掛け、中央には「聖ステファノの殉教」があります。下部はメディチ家の家紋に挟まれて、中央にやはり聖ステファノがいます。

これはアレッサンドロ・デ・メディチから教会に贈与されたもので、彼は後に法王レオ11世となります。
メディチ家出身の法王と言えば、レオ10世とクレメンテ7世が有名ですが、レオ11世はレオ10世の甥だった人物です。
パリオット

◉ドゥオーモ外部説教壇
プラート大聖堂には内部と外部に2つの説教壇があります。外部に設置された説教壇は、重要な聖遺物「聖なる帯」と顕示する目的てつくられたもの。15世紀にドナテッロとミケロッツォによってつくられた説教壇が設置されました。
それ以前にあった一世代前の説教壇がこちらです。
説教壇
マリア様が昇天の光に包まれながら、トマスに帯を渡しています。

◉「聖なる帯」ケース
マーゾ・ディ・バルトロメーオの15世紀の作品。彼はドナテッロとミケロッツォの弟子であり、代表的な作品では燭台(プラート大聖堂)や サンティッシマアンヌンツィアータ礼拝堂(フィレンツェ サンティッシマアンヌンツィアータ教会)などがあります。
聖遺物箱
ケースは鍍金した銅と象牙でできていて、古代風の円柱の間をドナテッロ風のプットーたちが踊っています。
17世紀に現在の銀の祭壇がつくられるまで、このケースに「聖なる帯」が保存されていました。
聖遺物箱2

◉受難のシンボルを持つ子供のイエス
15世紀、フランチェスコ・ディ・シモーネ・フェッルッチの作品です。
イエス
これを最初に見た時、デジデーリオ・ディ・セッティニャーノの作品?と思いました。それもそのはず、デジデーリオの作品からインスピレーションを受けているのだそうです。デジデーリオの作品は、フィレンツェはサンロレンツォ教会のサンティッシモサクラメントの壁龕です。その頂上に子供のイエスの像があるのです。
フェッルッチのこの作品もプラート大聖堂のチボーリオ(聖体用祭壇)の頂上を飾っていた作品です。フェッルッチはヴェロッキオの協力者として活躍した芸術家になります。

◉十字架像
裏表の両面に描かれた十字架像はボッティチェッリの作品です。肉体を陰影で表現して、三次元のイメージになっています。
イエス
このようなタイプの十字架像は14世紀から15世紀初期まで流行していました。しかし場所によっては15世紀終わりまで作例が見つかります。
引き延ばしたプロポーションはボッティチェッリの晩年の作品の特徴です。穏やかな様子は死を乗り越えたイエスを表現しています。苦しみの表現は和らいでいて、諦観の雰囲気がありながら引き込まれる魅力があります。これはサヴォナローラの影響を受けた時期のボッティチェッリの傾向です。

参照
MUSEI DIOCESANI PRATO, MUSEO DELL'OPERA DEL DUOMO CLAUDIO CERRETELLI : CLAUDIO MARTINI EDITORE 2012
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。