プラート大聖堂美術館(4)1600年代の部屋

その他のトスカーナ地方
05 /14 2014
プラート大聖堂付属美術館(Il Museo dell'Opera del Duomo di Prato)にある主な作品を紹介するシリーズです。今日はsala del seicento(1600年代の部屋)の作品を見ていきます。

◉聖チェチリア(セシリア、カエキリア、伊語でチェチリア)マッテオ・ロッセッリ 1615〜1620
ロッセッリはアンドレア・デル・サルトの作品を研究し、グレゴーリオ・パガーニの右腕として活動しました。師匠が亡くなるとその工房を継ぎます。
opera del duomo2
チェチリアは2〜3世紀の頃の人物で、キリスト教徒として純潔の誓いを立てていたために、ローマの貴族と結婚する時にも性的交渉を放棄するように説得しました。
キリスト教徒であったために、彼女は蒸し風呂で窒息死、あるいは油の煮えたぎる釜に投じられ処刑されますが、それでも亡くならなかったという伝説です。
15世紀から彼女を「音楽の守護神」として扱う美術モチーフが出てきます。これは彼女が様々な楽器の音に送られて婚約者の家に導かれたという物語からきているのですが、楽器のことをラテン語でcantantibus organisと呼んでいたため、待ち運び可能のオルガンをチェチリアと一緒に描くようになりました。しかしこのオルガンは16世紀の時代に姿を消し、以後はクラヴィコードやハープ、リュートなどがチェチリアの持ち物になることが増えます。
聖女が楽器を持ちつつ(ある場合には弾き鳴らしつつも)楽器を身体から遠ざけて持っていたり、楽器よりも天上に注意している場合は「地上的な楽器を拒否し、天上的な楽器を取る」ことを表します。これは楽器が一般的に性的な象徴と考えられていたためです。
例えばtromba(トランペット)という言葉は、trombare(女性を性的に満足させる)という言葉に繋がります。

◉守護天使 カルロ・ドルチ作 1670〜1675
大聖堂のアッスンタ礼拝堂のために描かれた作品です。100人の司祭で組織された守護天使会(congrega degli Angeli Custodi)から注文されました。
opera del duomo3
計算された構成で、美しい子供が天使の助けを求めている場面です。天使は楽な道は破滅に続き、苦しい道が天上へ続くことを指し示しています。
背景のユリは「精神的な愛」を、アネモネは「儚い幸福」や「キリストの受難」を表す花です。

◉聖ステファノの遺体の運搬 アレッサンドロ・フランキ 1865
この部屋で唯一、19世紀の作品です。新古典主義の額縁に入っています。
opera del duomo1
プラート、つまり地元の芸術家によって描かれました。シエナのアカデミーで学んだ画家です。オリジナリティに満ちた構成で、暗い場面の中、運ばれる聖人の遺体にスポットライトが当てられている様子です。

参照
西洋美術解読事典 ジェイムズ・ホール 河出書房 1988
MUSEI DIOCESANI PRATO, MUSEO DELL'OPERA DEL DUOMO CLAUDIO CERRETELLI : CLAUDIO MARTINI EDITORE 2012
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。