ルネッタからの変換 サルト「スカーラの受胎告知」

フィレンツェ市
05 /21 2014
絵画作品には、様々な理由によって、その形態を変えられて現在に至る作品があります。
フィレンツェのパラティーナ美術館所有の作品の中にその例を見ていきます。

まずはルネッタ(半円形)から四角い作品に形態変更された作品です。
アンドレア・デル・サルト作「スカーラの受胎告知」1528
annunziata

ヴァザーリに依れば、サルザーナ(リグーリア州)のサンドメニコ教会の祭壇画の一部として描かれました。
cimasa(チマーザ)と呼ばれる祭壇画の冠の部分として注文されたため、上が曲線の半月形をしていました。
しかし結局サルザーナに送られることなく、ジュリアーノ・デッラ・スカーラという人物のもとに置かれていました。そこで「スカーラの受胎告知」と呼ばれるわけです。

このような状況で単独の作品とするため、画家自身の手によって四角い形へと変えられ、付けたした部分には両サイドに布地が描かれました。まるでカーテンが翻って、その向こうの受胎告知が現れたかのような演出は偶然の賜物なんですね。

メディチ家のフェルディナンド1世がまだ枢機卿であった時代、この作品に興味を持ち、スカーラにはアレッサンドロ・アッローリ作のコピーを渡すことで、引き換えに入手します。

マリア様のベッドを背後におき、人物像は下から見上げるように、二人の間の無言劇が描かれています。
大天使ガブリエルはマリアをじっと見つめ、マリア様は両手をあげて驚く仕草をしつつも、視線を下に向けて従順の意図を表しています。

天使の持つ白い百合、「閉じられた菜園」の象徴である花瓶にさした花、本という受胎告知にお馴染みの小物が二人の向こう側に並んでいます。

参照 Marco Chiarini, Galleria palatina e Appartamenti Reali, Sillabe, Livorno 1998. ISBN 978-88-86392-48-8
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。