切断された祭壇画 フラ・バルトロメーオ「コンピアント」

フィレンツェ市
05 /23 2014
絵画作品には、様々な理由によって、その形態を変えられて現在に至る作品があります。
フィレンツェのパラティーナ美術館所有の作品の中にその例を見ていきます。

アンドレア・デル・サルト「スカーラの受胎告知」ロッソ・フィオレンティーノ「デイ祭壇画」、2枚のオリジナルサイズを拡大した作品をご紹介しましたが、今日は反対に縮小された作品を見てみましょう。

フラ・バルトロメーオ作「コンピアント」1511〜1512
コンピアント

作品は1530年の神聖ローマ帝国軍によるフィレンツェ包囲の際に、破壊されてしまった城壁外のサン・ガッロ教会の主祭壇を飾っていました。
近年の修復で背景を覆っていた黒を除いたところ、二人の聖人の像が発見されました。
聖ピエトロと聖ヤコブ(推定)の頭が途中で見切れているところから、この祭壇画もっと大きなサイズであったことがわかったのです。
作品はサン・ガッロ教会の破壊の前に、サン・ヤコポ・トラ・イ・フォッシ教会へと運ばれていました。

同美術館にあるペルジーノ作「コンピアント」から、明らかに影響を受けている作品です。
イエスやマリア様、イエスの身体を支える人間のポーズがよく似ています。しかしフラ・バルトロメーオのほうがペルジーノの作品よりも、よりドラマ性を強調しているのがわかります。
例えばフラ・バルトロメーオ作品では、足元にいるマグダラのマリアが泣きながら、イエスの足を抱いています。

ペルジーノ作「コンピアント」
コンピアント ペルジーノ

フラ・バルトロメーオの作品では、クラッシックで厳粛な形態はラッファエッロから学び、豊かな色彩はヴェネツィア滞在時に身につけたものと思われます。描線は細く身体のボリューム感などはあまりありませんが、色彩が美しく、特にマグダラのマリアなどの服に反射する光が印象的です。

参照 
M. Ciatti e S. Padovani (a cura di), Fra Bartolomeo la Pietà di Pitti restaurata, Firenze 1988
Marco Chiarini, Galleria palatina e Appartamenti Reali, Sillabe, Livorno 1998. ISBN 978-88-86392-48-8
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。