ミケランジェロの胸像はデスマスクから

サンマルコ地区
05 /31 2014
フィレンツェのアカデミア美術館で「囚人の部屋」に入ると、奥のほうにダビデ象がそびえ立っているのが見えます。その手前にはユリウス2世のために制作した未完の囚人像たちがあり、さながらミケランジェロギャラリーです。そちらに視線を奪われていると、なかなか気づかないのが「ミケランジェロの胸像」です。

ダニエレ・ダ・ヴォルテッラ作 1560年ごろ
ミケランジェロ2
しかしミケランジェロの胸像はアカデミア美術館だけではなく、バルジェッロ博物館、ブオナローティの家など他の場所にも同じ作品をみることができます。
ミケランジェロのデスマスクからつくったと言われるこの胸像、レプリカがミケランジェロゆかりの場所に展示されているのですね。デスマスクは人が死んだ時に顔から型をとっておき、葬式などの式典に使ったり、彫刻のモデルになったりします。本人がどういう顔をしていたかという貴重な資料でもあります。
ミケランジェロ1

作者のダニエレ・ダ・ヴォルテッラは16世紀のイタリアの画家兼彫刻家です。ミケランジェロ後期の作品の協力者でした。
ミケランジェロは教皇パオロ3世に働きかけて、ダニエレがバチカンで指導監督の地位に就けるようにしてあげたり、絵の元になるスケッチも与えたりしました。

ミケランジェロは1564年に亡くなります。
1565年になるとダニエレはシスティーナ礼拝堂のミケランジェロ作のフレスコ画『最後の審判』に描かれた裸体を覆い隠す仕事にかかりました。
トリエント公会議が宗教画の中のヌードを非難されたためです。

この仕事のため、彼は「Il Braghettone」というあだ名をつけられます。brachettaとは15〜16世紀の男子の服装でズボンの前につけた袋や、単純にパンツのことを表します。
後の修復でダニエレが描き足した部分は取り除かれ、ミケランジェロ制作の裸体が復活しています。

参照
Daniele da Volterra, amico di Michelangelo, cat. della mostra a cura di V. Romani, (Firenze, Casa Buonarroti), Firenze 2003.
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。