ヴィーナスとアモル

サンマルコ地区
06 /01 2014
フィレンツェのアカデミア美術館にミケランジェロのデッサンをもとに、マニエリズムの画家ポントルモが描いた作品があります。

「ヴィーナスとアモル」ポントルモ 1553年
ヴィーナスとアモル

ミケランジェロのカルトーネ(カルトン、原寸大の下絵)は彼がローマに旅立つ、1534年以前に描かれたものと考えられます。したがってポントルモの絵はそれから約20年後の作品となります。カルトーネのほうは現在は残っていません。

この作品、かつてはアレッサンドロ・デ・メディチが所有しており、システィーナ礼拝堂の最後の審判と同じように、後世の描き足しによって裸体が覆われてしまった時代がありました(19世紀の修復で元の姿に戻りました)

画面いっぱいにヴィーナスが身体を伸ばしています。青い布地の上に上半身を起こし、首を曲げてキューピッドに接吻をしています。キューピッドはアモルとも呼ばれ、ヴィーナスの息子でもあり、愛人でもあります。アモルも身体を捻ったポーズで、片手をヴィーナスの首に回し、片足をヴィーナスの恥部を隠すかのように彼女の太ももにせています。
ヴィーナスは右手をキューピッドの矢に伸ばしています。これはおそらく「愛の裏切り」の隠喩です。
左のほうに置かれた弓にぶら下げられた2つの仮面にも同じ意味がこめられています。上には愛のシンボルである薔薇が花瓶にさしてあり、仮面の下には死人の肌のような色をした人形が置かれています。

彫塑的で、身体を捻るポーズまでミケランジェロの影響を色濃く受けた作品になっています。
この作品を見るとマニエリズムはミケランジェロ発祥なんだなということがよくわかります。

参照
Ettore Camesasca, Michelangelo pittore, Rizzoli, Milano 1966.
AA.VV., Galleria dell'Accademia, Giunti, Firenze 1999. ISBN 8809048806
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。