ウッフィツィ特別展2014「純粋にてシンプル、自然」サヴォナローラ派から

芸術を読み解く
08 /24 2014
フィレンツェのウッフィツィ美術館で2014年6月17日〜11月7日まで行われている特別展「Puro, semplice e naturale ピュア、シンプル、ナチュラル」は、16世紀から17世紀にかけてフィレンツェで制作された作品がテーマです。
この展示会で見れる作品を一部、ご紹介します。

サンマルコ修道院長サヴォナローラの思想は、彼の劇的な死(シニョーリア広場での火あぶりの刑)のあともフィレンツェの芸術家に影響を与え続けました。
サヴォナローラに従い「虚栄の焼却(美術品や書物などの焼却事件)」にて自ら作品を火にくべた芸術家にはロレンツォ・ディ・クレーディ、フラ・バルトロメーオ、リドルフォ・デル・ギルランダイオ、イル・クロナカ、バッチョ・ダ・モンテルーポ、ロッビア一族などの名前があがります。
これらの芸術家は本質的で厳格な、文盲な人間にもわかり易い宗教画を表現していきます。
彼らとともにディゼーニョ(素描)の天才であったアンドレア・デル・サルトがつくりあげた「フィレンツェの作風」はその後、一世紀半もフィレンツェの主流となるのです。

「聖コジモ、聖ダミアーノ」
リドルフォ・ギルランダイオ 1504年 ラクイエーテ別荘
mostra1
リドルフォはミケランジェロの師匠でもあったドメニコ・ギルランダイオの息子にあたります。
医者の衣装であった赤いマントに身を包み、薬の入った箱を手に持つ双子の医者の聖人たち。
壁龕の中に置かれた彫像を模し、「生きている彫像」を表現しているかのようです。普通の人間と同じ大きさを持った聖人の像は自然さに溢れています。
作品はリポリのサンヤコポ修道院のために制作されました。ドメニコ修道会の修道院ですので、サヴォナローラの宗教改革に沿ったものとなっています。
双子の聖人はメディチ家の守護聖人です。しかしメディチとサヴォナローラは対立していましたので、メディチ家注文の作品と仮定しますと、サヴォナローラに影響を受けた作風と矛盾が生じます。

「祝福を与える永遠の父とマグダラの聖マリアとシエナの聖カテリーナ」
フラ・バルトロメーオ 1509年 グイニージ別荘美術館(ルッカ)
mostra uffizi7
サヴォナローラの信者であった画僧フラ・バルトロメーオによって描かれました。ムラーノのサン・ピエトロ修道院のために制作された作品です。
神を頂点に2人の聖女と三角形を成す本質的でシンプルな構造、背景には川の風景が描かれています。
この情緒的な背景はヴェネツィアの画家ジョルジョーネから影響を受けたものです。この部分は修復によって朝の光や細かく描かれた部分(煙突から上がる煙、家、農民の様子)まで見て取れるようになりました。

「聖ロッコ」
アンドレア・サンソヴィーノ 1528年 サンティ・クィリコ・エ・ジュリエッタ教会(アレッツォ)
mostra uffizi6
ヴァザーリによると「サンソヴィーノは友人であったドイツ人の神父のために人間と同じ大きさの陶器の聖ロッコを制作した、それはとても美しい作品だ」と記述しています。
これはこの芸術家の最後の作品です。古代彫像風の頭部や、自然な感じの服の襞、悟ったような諦めの表情など、いくつかの要素を掛け合わせてあります。

「袋の聖母」のための習作
アンドレア・デル・サルト 「袋の聖母」はサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会の中庭にあります。
mostra uffizi3
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。