ウッフィツィ特別展2014「純粋にてシンプル、自然」美術はいつも回帰する

フィレンツェ市
08 /26 2014
フィレンツェのウッフィツィ美術館で2014年6月17日〜11月7日まで行われている特別展「Puro, semplice e naturale ピュア、シンプル、ナチュラル」は、16世紀から17世紀にかけてフィレンツェで制作された作品がテーマです。
この展示会で見れる作品をご紹介する第三弾。

◉クルスカアカデミー(イタリア語純化を目標に掲げた言語学会)で文語と口語の違いについての論争があった頃、画家のサンティ・ディ・ティートやエンポリは、フラ・バルトロメーオやアンドレア・デル・サルトに発生した純粋さを源泉とする美術に回帰する改革を唱えていました。

彼らとその弟子たちは、デザインに重点をおくフィレンツェの美術伝統に再び光をあてる役割を担っていました。
アンドレア・デル・サルトの美術をよく知っていたオッターヴィオ・ヴァンニーニは「フィレンツェ風」の執拗な回復を最後に試みた画家に、アントニオ・ノヴェッリとロレンツォ・リッピの名前を挙げています。

それは1640年にフィレンツェのピエトロ・ダ・コルトーナが到着するのを機会にバロックへと移っていく、その流れに逆流するものでした。

「ソッコルッソ(救助)の聖母」
ヤコポ・ダ・エンポリ 1597年 パラティーナ美術館
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サンタ・マリア・ソプラルノ教会が所有していた作品です。画面の上部は15世紀の伝統に沿っていて、古めかしさがあります。こん棒をふるって子供を悪魔から守ろうとする聖母、左下は子供を守って欲しいと聖母にすがる子供の母親です。15世紀の典型的なこのタイプの作品と違って、母親の洋服が貴族階級のものになっています。

「蘇ったキリスト」
アントニオ・ノヴェッリ 1640年 サンマルコ教会(フィレンツェ)
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サントセポルクロ騎士団のガヌッチによって注文され、サンマルコの聖具室への渡り廊下に設置されていました。
マッテオ・ロッセッリが建築をデザイン、アントニオ・ノヴェッリがこの作品を制作します。
ミケランジェロやジャンボローニャのモデルから離れ、ルカやアンドレア・デッラ・ロッビアへ接近しようという試みがみられます。彫刻の「puriste 純化主義者」は、絵画ではヴァンニーニやリッピに受け継がれます。


◉この時期、一世紀にも渡ってフィレンツェの芸術家は、柔らかい日常的なトーンで宗教画を表現しようとしました。暖かさに満ちたフラ・バルトロメーオの「聖家族」がいい例です。慎ましく、明快で、伝わり易く、人を巻き込み易い語り口調に満ちた作風が目指されました。

「エジプトへの逃避」
ロレンツォ・リッピ 1642年 サンピエトロ・アロルト教会(マッサマリッティマ)
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このテーマは祭壇画としてはフィレンツェでは珍しいものです。リッピの芸術の新しい「purista 純化主義者」の傾倒が見れます。
少年時代の洗礼者が背景の自然のなかに孤独に浸り、主題に関連性を持っていません。これは彼の隠者としての環境や瞑想の一生を暗示しています。

◉静物画のジャンルが生まれる前、静物のテーマは「poetica degli oggetti オブジェの美学」として認められていました。15〜17世紀のフィレンツェの多くの芸術家に、自然を表現することに固執した様子が認められます。

「ロトと娘たち」
ロレンツォ・リッピ 1650年 ウッフィツィ美術館
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「モラルの価値」をテーマにする時にリッピが好んで用いたエピソードです。
リッピは信心に富んだ生活に若い頃から非常に熱心で、スカーラ信心会に参加し感化されていました。
画家がpuristaとして活躍していた時期の作品です。
フィアスコのボトルやテーブルの上の食品など、静物画としてみても優れた部分になっています。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。