ウッフィツィ特別展2014「純粋にてシンプル、自然」 宗教画のエレガンス

フィレンツェ市
08 /27 2014
フィレンツェのウッフィツィ美術館で2014年6月17日〜11月7日まで行われている特別展「Puro, semplice e naturale ピュア、シンプル、ナチュラル」は、16世紀から17世紀にかけてフィレンツェで制作された作品がテーマです。
この展示会で見れる作品をご紹介する第4弾です。

◉対抗宗教改革の流れにのった17世紀のフィレンツェの宗教画第一人者といえば、カルロ・ドルチです。
カルロ・ドルチはデザインアカデミーに入るにあたって、ベアート・アンジェリコの肖像画を描くことを決めました。気品に満ちたシンプルさで聖なる出来事を描くことに身を捧げた画家として、自身が追うべき前例と考えたのかもしれません。

「聖母子」
カルロ・ドルチ 1624年
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「真似することのできない入念さ」で描かれた作品であると評価された作品です。
輝くエフェクト、鑞を含むかのような彫塑性はロッビアの彫刻の表面の輝きと比べることができそうです。
精神性にみちた感情が表現されている点も似通っています。
彼はフィレンツェだけではなく、ヨーロッパ中から注文を受けるほどの成功した画家でしたので、このテーマだけでも5つのヴァージョンが確認されています。

「聖母子と聖エリザベッタ、洗礼者ヨハネ」
アンドレア・デル・サルト 1529年 パラティーナ美術館
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オッタヴィアーノ・デ・メディチから注文された作品です。オッタヴィアーノは当時のフィレンツェ共和国の政治的、文化的中心であった人物。サルトは彼と固い信頼関係にありました。
シンプルな環境設定のなかに滲み出るデッサンのエレガンス、自然な表現、これらはサルトから次世代へと引き継がれていきます。

そしてもう一人、対抗宗教改革時代のフィレンツェ宗教画第一人者はエンポリです。

「殉教聖女」
ヤコポ・ダ・エンポリ 1600年ごろ プライベートコレクション
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この印象的な聖女の姿は、エンポリが肖像画に対するフィレンツェの伝統を再考したものです。その姿だけでは「殉教聖女」とはわかりません。そのような要素を排除してあるからです。
まるでレオナルドの描いた肖像画のようでもあり、アンドレア・デル・サルトの作風の集大成のようでもあります。堅固で、荘厳なエンポリの絵画は、彫刻作品との関連性も感じ取られます。特にジョヴァンニ・カッチーニの聖人をあつかった胸像の影響が考えられます。

さて何回かにわたってご覧頂いたウッフィツィの特別展、いかがでしたでしょうか?
特別展は様々なコンセプトに従って作品が集められますので、知っている作品でも違った観点で鑑賞できるのが面白くもあります。
フィレンツェの美術館では年間を通して特別展が行われていますので、また機会があったら日記で紹介したいと思います。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。