オルサンミケーレの守護聖人たち その1

シニョーリア広場地区
11 /24 2014
フィレンツェの中心街にある14世紀の建築、オルサンミケーレ教会。この日記でも何回か紹介してきました。
この教会の外壁には14の壁龕があり、その中には合計して18体の彫刻が設置されています。これらの彫刻はフィレンツェのアルテ(同業者組合)の守護聖人たちで、それぞれの組合が注文、制作されたものです。彫刻は現在すべてコピーとなっており、オリジナル作品は美術館に収容されています。
今日からこの彫刻を順番に紹介していきたいと思います。
オルサンミケーレ1
まず(1)の位置にある聖マタイと(2)の聖ステファノです。

San Matteo 聖マタイ
オルサンミケーレ3
◉ロレンツォ・ギベルティ作
◉依頼主 両替組合(Arte del Cambio)
◉1419〜1422年制作
◉ブロンズ 高さ270cm
◉制作費 650フィオリーニ

作品は毛織物業承認組合の洗礼者ヨハネ像(こちらもギベルティ作)と競うかたちで制作されました。ヨハネ像よりも先に完成しています。フィレンツェ共和国では銀行業と毛織物業が当時はもっとも栄えていました。

制作に関して組合の中で委員会がもうけられますが、メンバーの1人にメディチ家の老コジモもいました。
この委員会により3年後に作品を完成させることがギベルティに要請されます。
壁龕もギベルティに制作が依頼され、彫刻完成時にはすでに壁龕も完成していました。設置の際にはミケロッツォも協力したそうです。

4人の福音書記者の1人であるマタイはイエスの弟子となる前は収税史をしていましたので、お金に関係していることから、銀行家の組合の守護聖人となっています。
ギベルティのマタイは片手を胸に置き、もう片方の手には本を持っています。巻き毛と髭をもつクラッシックな像です。この像に比べると、ヨハネ像は国際ゴシック様式を抜け出し、ドナテッロの作風に近いフィレンツェの人文主義の世界へと足を踏み入れています。
壁龕上部の彫りが、まるで聖人の頭の後ろに後光が射しているかのようなエフェクトを演出しています。この壁龕のデザインはギベルティですが、制作はヤコポ・ディ・コルソとジョヴァンニ・ディ・ニッコロによるものです。


Santo Stefano 聖ステファノ
オルサンミケーレ2
◉ロレンツォ・ギベルティ作
◉依頼主 毛織物業組合(Arte della Lana)
◉1427〜1428年制作
◉ブロンズ 高さ260cm

オルサンミケーレに設置される作品のうち、4体目のブロンズの像として鋳造されました。
大理石作品よりもブロンズ作品のほうが約10倍の費用がかかるため、ブロンズ作品を依頼した組合は裕福で力のある組合です。
ここにはすでにアンドレア・ピサーノの「聖ステファノ」が設置されていましたが、発展し続ける組合の像として不釣り合いと判断され、新しい聖ステファノ像が依頼されました。
ピサーノの像は1340年に最初にオルサンミケーレに設置された作品でしたが、組合は作品を売ってしまいます。
ギベルティの聖ステファノは左手に閉じた本を持ち、右手にはペン先を持っていましたがこれは失われてしまいました。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。