オルサンミケーレの守護聖人たち その2

シニョーリア広場地区
11 /28 2014
フィレンツェの中心街にある14世紀の建築、オルサンミケーレ教会。
その外壁には14の壁龕があり、ルネッサンス時代の彫刻が設置されています。これらの彫刻はフィレンツェのアルテ(同業者組合)の守護聖人たちで、それぞれの組合が注文、制作されたものです。彫刻は現在すべてコピーとなっており、オリジナル作品は美術館に収容されています。
今日はその彫刻作品を紹介する第2弾です。
オルサンミケーレ1
今日は(3)の位置にある聖エリージョと(4)の聖マルコです。

Sant'Eligio
オルサンミケーレ5
◉ナンニ・ディ・バンコ作
◉依頼主 蹄鉄工組合
◉1417〜1421年制作
◉アプアーネの大理石 240cm

聖エリージョは蹄鉄工と金属の細工師の守護聖人です。ナンニがつくったという記録は残っていないのですが、ヴァザーリなどの記述から彼の作品であるとされています。
壁龕の装飾ではドナテッロの聖ジョルジョの「ドラゴンを倒すジョルジョ」の浮き彫りに近いスタイルとなっています。

エリージョ像は司教杖を持っていたのですが、何回か盗まれたため、杖無しの状態で放置されることになりました。
司教の服を着て左手に閉じた本を持ち、右手に司教杖を持っていました。
頭が比較的小さく制作されているため、下からみると実際よりも上のほうに伸びている印象を受けます。
この頭は、ハドリアヌス帝の彫刻の頭部に似ているという批評もあります。
洋服の襞の様子は、同じくオルサンミケーレ教会の洗礼者のヨハネ(ギベルティ作)から影響を受けています。
修復の際に、髪の毛と洋服の一部に鍍金されていた跡が見つかりました。

San Marco
オルサンミケーレ4
◉ドナテッロ作
◉依頼主 リネン商組合
◉1411〜1413年制作
◉アプアーノの大理石 248cm

福音書記者マルコはリネン商の守護聖人です。これはドナテッロがオルサンミケーレのために彫った最初の作品でもあります。最初はニッコロ・ディ・ピエトロ・ランベルティに依頼された作品でしたが、依頼はドナテッロの手に渡ります。その理由ははっきりわかっていません。
ヴァザーリによれば制作初期段階でブルネレスキが協力していたとされます。また依頼主は作品の出来に不満がありましたが、ドナテッロは壁龕の中にいったん設置してから手直しをすることを提案します。いったん壁龕の中に収まってしまうと像は素晴らしい出来に見え、手直しはごくわずかで済んだとのことです。
ミケランジェロもこの作品を絶賛したとヴァザーリは伝えています。

聖マルコ像は古代の哲学者のようなひげを生やした風貌で、トーガを腰のあたりで留めています。精神性と静けさに満ちた表情で、後に彫られる福音書記者ヨハネを彷彿とさせます。身体の軽いひねりがあるため、像が壁龕から外にわずかにはみ出しています。このため正面を向きながらも、柔らかいポーズとなっています。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。