オルサンミケーレの守護聖人たち その5

シニョーリア広場地区
12 /10 2014
フィレンツェの中心街にある14世紀の建築、オルサンミケーレ教会。
その外壁には14の壁龕があり、ルネッサンス時代の彫刻が設置されています。これらの彫刻はフィレンツェのアルテ(同業者組合)の守護聖人たちで、それぞれの組合が注文、制作されたものです。彫刻は現在すべてコピーとなっており、オリジナル作品は美術館に収容されています。
今日はその彫刻作品を紹介する第5弾です。
オルサンミケーレ1
今日は(9)の位置にある「トマスの疑惑」と(10)の「聖ルカ」です。

Incredulità di san Tommaso トマスの疑惑
オルサンミケーレ11
◉アンドレア・デル・ヴェロッキオ作
◉依頼主 商人裁判所
◉1466〜1483年
◉ブロンズ イエス像241cm 聖トマス像203cm

この教会のグループ像としては唯一、丸彫り作品ではなく、壁龕の壁に接する部分は彫りがありません。

設置されている場所はメインストリートに面する壁の中心の壁龕です。注文主は、アルテ(同業者組合)同士の法的取り決めをするTribunale di Mercatanzia(商業裁判所)でした。ヴァザーリによればこの場所は最初にグエルファ派が所有しており、ドナテッロ作「聖ロドヴィーコ」が置かれていました。この作品はサンタクローチェ教会に移され、現在は同教会の美術館にあります。
1463年に壁龕の所有権が裁判所に渡り、新しい像が設置されることが決まりました。まずイエス像、続いてトマス像が制作されます。
「目に見えることしか信用しなかった」トマスは裁判所のシンボルとして適した題材でした。
イエスの復活を信じていなかったトマスの前に本人が現れ、十字架の上で受けた傷に触らせる場面です。

狭い空間に2人の人物像を収めなければならなかったため、トマスの足が壁龕の外にはみ出た様子になっています。洋服の襞は重たく、まるで濡れているかのようです。この作風は弟子のボッティチェッリにも受け継がれています。ロストワックス法により、それぞれの像が一回の鋳造から作られた後、細部に彫刻刀で仕上げがしてあります。

San Luca 聖ルカ
オルサンミケーレ12
◉ジャンボローニャ作
◉依頼主 裁判官と公証人組合
◉1597~1602年
◉ブロンズ 273cm

壁龕にはランベルティの大理石作品である聖ルカ像(1406年作)が設置されていました。そちらは現在、バルジェッロ美術館に展示されています。15世紀の中頃に壁龕を一新する計画が持ち上がり、ブロンズ像の制作ができる最も有名な芸術家に依頼されます。

最初はストルド・ロレンツィに依頼されたものの、彼は素材を買い求めた段階で亡くなってしまいます(この段階で、まだ大理石作品を制作する予定でした)依頼はフランドルの芸術家ジャンボローニャに渡り、ここでブロンズ作品制作が決定されます。これにより、カルツァイオーリ通り側の壁龕3つに、いずれも同じ素材「ブロンズ」の作品が並ぶことになったのです。

聖ルカはひげを生やした中年の男性として表現されています。左肘を曲げて布地を持つポーズは、ミケランジェロのダヴィデへのオマージュなのかもしれません。マニエリズムの、典型的な身体を捻る体勢です。
当時から評価の高かったこの作品はベルニーニからも賞賛されたと言います。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。