オルサンミケーレの守護聖人たち その6

シニョーリア広場地区
12 /13 2014
フィレンツェの中心街にある14世紀の建築、オルサンミケーレ教会。
その外壁には14の壁龕があり、ルネッサンス時代の彫刻が設置されています。これらの彫刻はフィレンツェのアルテ(同業者組合)の守護聖人たちで、それぞれの組合が注文、制作されたものです。彫刻は現在すべてコピーとなっており、オリジナル作品は美術館に収容されています。
今日はその彫刻作品を紹介する第6弾です。
オルサンミケーレ1
今日は(11)の位置にある「聖ピエトロ」と(12)の「聖フィリッポ」です。

San Pietro 聖ピエトロ
オルサンミケーレ13
◉ブルネレスキ作(推定)
◉依頼主 肉屋組合
◉1412年頃
◉大理石 243cm

この作品の作者や制作年数については長い間、論議が交わされてきました。
ヴァザーリの芸術家歴伝によれば、ブルネレスキが依頼を受けて制作し、ドナテッロが完成させたとされます。
この記述に疑問が持たれ、ナンニ・ディ・バンコやミケロッツォ、チュッファーニの名前などが制作者として挙げられました。

現在の評論家は作品をブルネレスキ作と認めることが多く、洗礼堂コンクールの後にブルネレスキがローマに赴き、古代彫刻を研究した結果が作品に現れてるとされる向きがあります。

チュッファーニはゴシック様式のギベルティのような作風から、ルネッサンスの新しい作風に移行していった芸術家ですが、彼の制作したダヴィデ像はオルサンミケーレの聖ピエトロには並ぶべくもない作品となっています。

古代の哲学者風の聖ピエトロはエレガントな襞の服をまとい、左手には本を、右手には彼の典型的なシンボルである鍵を持っています。鍵部分はブロンズ製です。
像はメインストリートのほうに身体を捻り、右肩が壁龕の中に隠れるかたちになっています。
この像に使われた大理石はオルサンミケーレ教会の作品の中でも優良な石で、風化にも耐えてきました。ブロンズ像に見せるために表面に油が塗られた時も、それを内部に吸収することがなかったと言われます。

San Filippo 聖フィリッポ
オルサンミケーレ14
◉ナンニ・ディ・バンコ作
◉依頼主 靴職人組合
◉1410〜1412年
◉大理石 250cm

使徒の聖フィリッポは靴職人組合の守護聖人です。ナンニはオルサンミケーレ教会のために「4人の聖人」と「聖エリージョ」も制作しています。中では「4人の聖人」が最も古典風、エリージョ像はゴシック風、フィリッポ像はその中間と見られます。

マントにベルトを身につけた若い男性で表現された聖フィリッポは、服の裾を手にして、それ以外の物は持っていません。古代のトーガを身につけたルネッサンス時代の彫像では最も古い作品の一つです。ドナテッロの作品の「聖マルコ」との深い繋がりが見られます。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。