「ソフィーの世界」に学ぶ「聖パオロ」

ちょっとかじる歴史の話
01 /13 2015
『ソフィーの世界』という本をご存知ですか?ノルウェーの高校の哲学教師ゴルデル著、1991年に出版されたファンタジー小説です。
優れた哲学史の入門書で、わかりやすく哲学を解読できるのですが、歴史の解説としても優れたものだと思います。

以前、この本を参照に「イエスはなぜ死刑になったのか?」を日記に書いたのですが、今日は聖パオロ(パウロ)について書きたいと思います。

イエスが死から復活した後、キリスト教徒たちはイエス・キリストを信じれば救われるという福音(喜ばしい知らせ)を広めます。この頃、パリサイ人のパオロがキリスト教に改宗し、ギリシア・ローマ世界へ伝道を積極的に行います。

熱心なユダヤ教徒であったパオロは最初はキリスト教徒を迫害していましたが、「なぜ、わたしを迫害するのか」と、天からの光とともにイエス・キリストの声を聞き、目が見えなくなります。祈りの奇跡の力で視力を取り戻すと、キリスト教に改宗したのです。
「パオロの回心」カラヴァッジョ作
san paolo

パオロはアテナイを訪れて哲学者たちと話をし、ギリシア哲学とキリスト教の教義がぶつかり合う日がやってきます。

ギリシャの人々は「すべての人は神を探し求めている」と考えていましたが、そこにパオロは
「神はたしかに人間の前に現れ、本当に人間と出会った」と説いたのです。

「神は人の手がつくった神殿には住んでいない(偶像崇拝否定)」
「神は歴史の中に現れ、人間のために十字架で死んだ」

このようなパオロの説教に動かされ、キリスト信者になった人々がいました。

またパオロは「ギリシア人はユダヤ教の戒律を守らなくても、キリスト教徒になれる」としました。
これにより神とイスラエルの民の古い契約(旧約)は、イエスが神とすべての人間のあいだに結んだ新しい契約(新約)に取って代わられます。こうしてキリスト教は一民族、一地域に限られた宗教ではなく、世界宗教となります。

紀元後、わずか数十年で、ギリシアとローマのおもだった町にキリスト教徒のグループができていきます。
キリスト教がギリシア-ローマの世界に登場したことは、2つの文化圏がドラマティックな出会いをした、文化の大きな転換点でした。その流れに大きな役割を果たしたのが聖パオロだったのです。

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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。