「ソフィーの世界」に学ぶ「トマス・アクィナス」

フィレンツェ市
01 /18 2015
『ソフィーの世界』というノルウェーの高校の哲学教師ゴルデルが出版したファンタジー小説は、優れた哲学史の入門書であり、哲学と歴史を結びつける面白い本です。この本をもとに「トマス・アクィナス」という神学者についてまとめてみます。

13世紀に南イタリアの貴族の家に生まれたトマスはモンテ・カッシーノ修道院の院長となるため、修道院にはいって高位聖職者となる道を進みます。
ナポリ大学を出た後、ドミニコ会に入会。ケルンそしてパリで学んだのち、アリストテレスの手法を神学に導入しました。パリ大学神学部教授時代にはアウグスティヌス派と論争を繰り広げます。
トマス・アクィナスの最大の功績はアリストテレスの哲学とキリスト教を合体させようとしたこと、信仰と知識の統合を図ったのです。

フィレンツェ サンタマリアノヴェッラ教会 スペイン人の礼拝堂
「トマス・アクィナスの勝利」アンドレア・ブオンアイユート作
tommaso
ずらりとならぶ自由学芸の上の王座に座るトマス・アクィナス。様々な学問の基礎をつくったアリストテレスの理論をさらに展開させたトマスがこのように描かれる意味がよくわかりますね。

アリストテレスの哲学
師匠のプラトンと違って、自然(動物や植物)を観察したアリストテレスは、現在も使われている学術用語を生み出し、様々な学問の基礎をつくりました。
「理性で考えたことが最高の現実である。理性こそが最も重要な人間の印である」

「現実は質料(素材)と形相(固有の性質)が一体となって出来た個々のものから成り立つ」

「生物だけではなく自然過程にも目的因がある→雨が降るのは植物や動物が瀬調をするのに雨水が必要であるからだ→自然はすべて目的にかなっている」

トマス・アクィナスの考え
「アリストテレスの哲学をふまえて、神の存在を証明できる」

「人間が生まれつきの自然な理性から到達できる真理は、神の啓示によって近づける真理と同じである(たとえば聖書を読まなくても、ほかの人を苦しめてはいけないということを知っている)」

「植物から動物へ、動物から人間へ、人間から天使へ、天使から神へ、と高まっていく存在の段階がある」

このあたりの考えは人間は動物と同じ肉体を持ちながらも、理性を持っているので動物よりは上の存在であるとしたルネッサンスの考えと同じです。

フィレンツェ ウッフィツィ美術館
「パラスとケンタウロス」ボッティチェッリ作
pallade
知恵の女神ミネルヴァ(またの名をパラス)が半人半獣のケンタウロスの髪を掴み、理性の肉体に対する優位を表現しています。

古代の哲学が、中世を通して神学によってキリスト教に統合されていき、ルネッサンスへとたどり着いていきます。次は「ソフィーの世界」に学ぶ、最終回です。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。