「ソフィーの世界」に学ぶ「ルネッサンス」

ちょっとかじる歴史の話
01 /19 2015
『ソフィーの世界』というノルウェーの高校の哲学教師ゴルデルが出版したファンタジー小説は、優れた哲学史の入門書であり、哲学と歴史を結びつける面白い本です。この本をもとに「ルネッサンス」という時代についてまとめてみます。

中世の時代に成立したキリスト教文単一文化、哲学と宗教の折り合いに務めたアウグスティヌスやトマス・アクィナスについて書いてきました。2人はプラトンやアリストテレスの哲学とキリスト教を近づけます。

しかし一方では哲学と科学は教会の神学から少しずつ離れていって、自由な態度をとるようになります。
順を追ってその変化を見ていきましょう。

ルネッサンスのバックグラウンド
中世の終わりに都市が成立し、手工業が栄えて商取引が行われます。
 ↓
貨幣経済、銀行制度の確率、市民階級が成立します。生活に必要なものはお金で買うことができる階級です。
 ↓
市民階級は封建領主や教会権力から身をもぎ離し、個人が勉強したりする時間を持つことが出来ます。
同時にスペインのアラブ人やビザンチン文化との交流で、ギリシャ文化が再発見されます。
(東ローマ帝国の滅亡により、東からの学者のイタリアへの流入も大きい意味があります)

ルネッサンスの新しい人間観
「人間中心主義」
中世の「人間は罪深い」から、ルネッサンスの「人間は無限に大きな価値あるもの」へ変化
※ギリシャの人間中心主義よりも個人主義の色が濃い
 古代の人間中心主義→心の平安や中庸や自制心を保つべき
15世紀人間中心主義→人間の目的はあらゆる限界を超えること
あらゆる分野(芸術、建築、文学、音楽、哲学、科学)が花盛りの時を迎えます。

ルネッサンスの新しい神観
上記のルネッサンスの新しい人間観が信仰生活にも影響します。
組織としての教会とのかかわりよりも、神と人ひとりの個人的なかかわりを重視。
 ↓
マルティン・ルターは教会が中世につくりあげたしきたりや信仰箇条を否定「聖書が全てだ」
「解放は信仰によってのみ、無償で与えられる」
こうして宗教改革が起こり、カトリックに対して個人の信仰を中心におくプロテスタントが生まれるのです。

ちなみにプロテスタントの地方の画家は「宗教画」を描くという仕事を失い、「風景画」「静物画」などのジャンルの作品が増えます。

「ソフィーの世界」は、まだまだ続いていきますが、この日記ではルネッサンスの時代までで終わりにしたいと思います。
中世からルネッサンスまでの美術には、当時の哲学や思想が反映されているので、このような哲学書は美術を理解するのにも役立ちます。機会があったら原作を手に取ってみてくださいね。

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。