シエナ大聖堂 ピッコローミニ図書館 法王の一生

シエナ県
02 /14 2015
ザ・ゴシック的なイメージのあるシエナの大聖堂。その中でひときわ輝くルネッサンス様式の空間がピッコローミニ図書館です。
図書館の壁は10のアーチに分けられています。だまし絵によって描かれたアーケードの向こうに物語が展開する意匠です。偽の柱にはグロテスク紋様が描かれ、一種のロッジャ(柱廊)のような様子になっています。
ピッコロ図書館1
フレスコ画のテーマは法王ピオ2世の一生です。カンパーノが書いた伝記とそれに本人が付け加えた注解をもとに描かれました。
美しい風景の野外と都市の建築が表現された屋内が交互に物語の舞台として使われ、主人公は多くの人に囲まれている様子です。

ピントゥリッキオとともに若きラファエッロも制作に加わり、ヴァザーリによれば、いくつかのデザインとカルトーニはラファエッロが用意したものです。そのうちいくつかのデザインはヴァザーリがシエナを訪れた際に、まだシエナに保管されていたようです。

しかしラファエッロは1504年にはフィレンツェにいたことから、彼のシエナでの滞在は1502〜1503年の考えられ、フレスコ制作の段階には携わっていないようです。

作品のスタイルは細密画に似て、はっきりとした豊かな輝く色彩で描かれています。武器や宝石の部分や、仕上げに金がふんだん使われています。

それぞれの場面を見てみましょう。
エネア・シルヴィオ・ピッコローミニがバーゼル公会議に旅立つ
この公会議は1431年にスイスのバーゼルで開会され、公会議主義者(公会議こそ教会内の至上決定権があると唱える)と教皇支持派の争いの場となりました。開催地がバーゼルからフェラーラ、フィレンツェ、ローマへと移動します。
ピッコロ図書館4
まだ27歳であったエネアが馬に乗って、こちらを振り返っています。
旅の途中、エルバ島とコルシカ島の間で、彼の乗った船が嵐に遭い南イタリアを迂回したエピソードが背景にあります。虹は反対にポルトヴェーネレとジェノバの間に無事たどり着いたことや、平穏な帰途を表現しています。

このような悪天候のイベントはルネッサンス時代の絵画には珍しい表現であり、物語の叙述に豊かさを与えています。また多くの人間が馬に乗って旅をする様子は「マギのカヴァルカータ(馬での旅)」の伝統的な図像からインスピレーションを受けています。司教から騎士まで様々な階級の人が描かれています。
この画面に関してはラファエッロの手による準備稿が遺されています。

物語は次回に続きます。

参照 Cristina Acidini, Pintoricchio, in Pittori del Rinascimento, Scala, Firenze 2004. ISBN 88-8117-099-X
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。