シエナ大聖堂 ピッコローミニ図書館 神聖ローマ帝国の大使時代

シエナ県
02 /15 2015
ザ・ゴシック的なイメージのあるシエナの大聖堂。その中でひときわ輝くルネッサンス様式の空間がピッコローミニ図書館です。
図書館の壁はだまし絵によって描かれたアーケードの向こうに法王ピオ2世の一生が綴られています。16世紀初期にピントゥリッキオが助手のラファエッロの手も借りて描いた作品です。

エネア・シルヴィオ・ピッコローミニ(ピオ2世)はシエナ出身の人文主義者で、神聖ローマ帝国に仕え、皇帝の側近、外交家でした。バーゼル公会議に神聖ローマ帝国の宰相として参加、その後聖職者となって、教皇に選ばれます。

今日は「ピオ2世の一生」の2番目〜4番目の場面をご紹介しましょう。
◉スコットランド宮廷のエネア・シルヴィオ大使
ピッコロ図書館7
ニッコロ・アルベルガーティ枢機卿の随行者として、エネア・シルヴィオ(後のピオ2世)はスコットランドのジャコモ1世のもとを訪れます。バーゼル公会議から王との同盟を組むという指令を預かっての訪問でした。
場面は王座を中心に展開し、短縮法を用いた大きな建築物の中となっています。
床の幾何学模様や紅いターペットの模様、格間天井の様子がよく見えます。

背景には古代モチーフ(コリント式柱頭、ペンデンティブの中のメダル)などがはいったロッジャの向こうに、美しい田園が描かれています。ウンブリア州の柔らかい丘陵線とは違った、岩がごつごつして川沿いに塔型建築が見える北方の風景が表現されています。

◉皇帝フェデリコ3世から詩人としての冠を授かるエネア・シルヴィオ
ピッコロ図書館6
神聖ローマ皇帝フェデリコ3世にエネア・シルヴィオは仕えます。皇帝の宮廷においてピッコローミニは信望を得て、名誉のある詩人としての月桂冠その他の特権を得ました。
場面の中央では、横顔のエネアが左の王座にいる皇帝から月桂冠を頂く、まさにその瞬間が描かれています。
背景には巨大な集中式の建築が描かれていますが、このようなモチーフはピエトロ・ペルジーノがシスティーナ礼拝堂に描いた「鍵の受託」が最初の例です。このモチーフをピントゥリッキオが受け継ぎ、他の礼拝堂装飾に使用しました。
2階にヴォールト天井の通路を設ける建築は、レオ10世の命令を受けジュリアーノ・ダ・サンガッロがつくったポッジョ・ア・カイアーノ別荘(1505年)に見られますが、同時代のピントゥリッキオの絵画にも出てくるのです。

◉エウジェニオ4世に従うエネア・シルヴィオ
ピッコロ図書館5
フェデリコ3世の大使として、エネア・シルヴィオは法王エウジェニオ4世に仕えます。
場面は実際には病に臥した法王の寝室のはずですが、王座がある部屋で表現されています。枢機卿たちに囲まれ、エネアは黄色い洋服を着て、法王の足元に接吻しています。法王は愛情に満ちた様子で彼に祝福を与えています。
また背景にはエネアがトリエステの町の司教に叙任されている場面が描かれています。

次回に続きます!

参照 Cristina Acidini, Pintoricchio, in Pittori del Rinascimento, Scala, Firenze 2004. ISBN 88-8117-099-X
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。