シエナ大聖堂 ピッコローミニ図書館 司教、枢機卿から法王へ

シエナ県
02 /26 2015
ザ・ゴシック的なイメージのあるシエナの大聖堂。その中でひときわ輝くルネッサンス様式の空間がピッコローミニ図書館です。
図書館の壁はだまし絵によって描かれたアーケードの向こうに法王ピオ2世の一生が綴られています。16世紀初期にピントゥリッキオが助手のラファエッロの手も借りて描いた作品です。

エネア・シルヴィオ・ピッコローミニ(ピオ2世)はシエナ出身の人文主義者で、神聖ローマ帝国に仕え、皇帝の側近、外交家でした。バーゼル公会議に神聖ローマ帝国の宰相として参加、その後聖職者となって、教皇に選ばれます。

今日は「ピオ2世の一生」の5番目〜7番目の場面をご紹介しましょう。ここでピオ2世は場面を追うごとに司教から枢機卿へ、そして法王へと階級を上がっていきます。

◉シエナ司教エネア・シルヴィオがポルトガルのエレオノーラを皇帝フェデリコ3世に紹介する。
ピッコロ図書館9
皇帝に未来の花嫁であるアラゴン家のエレオノーラを紹介した時に、エネアはすでにシエナの司教になっていました。こうして1452年にシエナにおいて2人の結婚の契約を取り持ったのです。
背景には実際の風景(カモッリーア門の外側)が詳細に描かれています。中央の円柱の上に両家の紋章があり、この円柱はこの機会にシエナ共和国が建てたもので、今も残っています。門の横には今はないバズィーリオ教会や、遠くには大聖堂の屋根や鐘楼、ファサードも見えますね。
カルトーネの記録によると構図はラファエッロの手によります。この構図をもとに、ラファエッロの作品「聖母の結婚」も描かれたものと考えられます。
3人の周囲には当時、実在したシエナの人々が描かれています。ピオ3世の兄弟のアンドレアやその妻などです。その個性のある人物表現に比べると、フェデリコ3世の付き添いは個性がない典型的な人物像です。

◉枢機卿の帽子を受け取るエネア・シルヴィオ
ピッコロ図書館8
エネア・シルヴィオがカリスト3世から枢機卿に任命されたのは、1456年です。
この場面も彼の一生を綴ったこのフレスコ画の3番目の場面と同じように、短縮法を用いて表現された豪華な建築物内部に設定されています。
手前の左に居る法王が、跪いたピッコローミニの頭の上に枢機卿の帽子を載せています。
周囲の人間では中央にいて場面を指差す2人組が目立ちます。
中央祭壇画には「聖母と聖ヤコブと聖アンドレア」が描かれていますが、この2人がピッコローミニ家の守護聖人です。

◉法王冠を戴いたピオ2世の入場
ピッコロ図書館10
新しく法王になったピオ2世がラテラーノのサン・ジョヴァンニに入ったのが1458年のことでした。
画面の左から運ばれてくるピオ2世は横顔で、祝福を与える仕草をしています。これは式典のクライマックス場面を表現しているのでしょう。跪いた人物が持つ棒のトウに火が燃えています。これは地上での命の儚さを新法王に思い起こさせる意味があります。
ずらりとならぶ司教たちの白い帽子が奥に続き、背景には修復前のこの教会の様子が表現されています。

次回はフレスコ画「ピオ2世の一生」の最終回!

参照 Cristina Acidini, Pintoricchio, in Pittori del Rinascimento, Scala, Firenze 2004. ISBN 88-8117-099-X
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。