美術の処方箋を書いたチェンニーノ・チェンニーニ

芸術を読み解く
03 /09 2015
チェンニーノ・ディ・アンドレア・チェンニーニは14世紀のイタリアの画家で絵画の手引書「 il Libro dell'arte(アートブック)」を著したことで有名です。
チェンニーノ
コッレ・ヴァル・エルザのアンドレアの息子として生まれます(ということは、アルノルフォ・ディ・カンビオと同郷ですね)
ジョット派のアニョロ・ガッディの元で12年ほど弟子として修行しました。自らの本の中で、チェンニーノは最も優れた師匠(ジョット)の直系の弟子であることを自慢しています。
ジョット→弟子タッデオ・ガッディ→息子アニョロ・ガッディ→弟子チェンニーノのジョッテスキの流れです。

彼の一生についてはわずかな情報が、彼自身の本と、ヴァザーリがアニョロ・ガッディについて書き残した部分によって伝えられています。
1398年にはパドヴァに滞在していたことがわかっていて、彼の「アートブック」はこのヴェネト地方滞在の間に書かれたようです。しかし言い伝えでは彼がスティンケ牢獄にいた晩年に書かれたものとなっています。

本はヴェネト地方とトスカーナ地方の口語lingua volgareで書かれていて、当時の絵画制作方法を記した重要な資料です。
特に顔料やその混ぜ方、筆やテンペラ画法、フレスコ画法の技術、また画家しか知り得ない裏技について触れています。
学者はil Libro dell'arteを、中世からルネッサンス時代への過渡期の作品と考えています。ルネッサンスにはこのような技法書や理論書が書かれるのですが、その先駆けとなった作品なのです。

また現代では中世の作品の修復にも役立つ情報を提供してくれています。1966年のフィレンツェ大洪水により被害を受けた作品の修復に多いに役立ったそうです。

残念ながら「Guida d'Italia  Firenze e provincia」には、彼の単独差品は載っていません。シエナのピナコテーカやプライベートコレクションには彼の作品がありますが、フィレンツェには無いのでしょうか。

参照 F. Dini, Cennino di Drea Cennini da Colle Val d'Elsa, in "Miscellanea d'arte della Val d'Elsa", XIII (1905), pp. 76-87
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。