中世の絵具は葡萄の蔓?アーモンドの種?

芸術を読み解く
03 /10 2015
14世紀のイタリアの画家チェンニーノ・チェンニーニは、絵画の手引書「 il Libro dell'arte(アートブック)」を著し、顔料やその混ぜ方、筆やテンペラ画法、フレスコ画法の技術、また画家しか知り得ない裏技について解説しています。
今回はこのil Libro dell'arteに書かれた顔料についてメモしてみます。

まず絵具とは、混合物です。
顔料+メディウム(媒材)+添加物

メディウムの種類は
多くの板絵 → 鶏卵の卵黄のみ
高価な顔料 → 卵白、膠、ゴム(色を黄色っぽくしないために使う)
細密画や羊皮紙→グレア(泡立てた卵白を水で濾過して顔料を溶く)
水彩画   → アラビアゴム

卵黄を使ったテンペラ技法はヨーロッパでは12、13世紀の頃から使われ始めたそうです。
ちなみにイチジクの樹液はアルカリ性なので腐敗を遅らせる効果があって、卵黄に混ぜるという方法があります。

それではチェンニーニが記した、それぞれの色の成分リストです。

●黒
葡萄の蔓(つる)
アーモンドの核
桃の核
油煙


シノピア(赤土)
チナブレーゼ(シノピア+ビアンコ・サンジョヴァンニ)
辰砂(しんしゃ、硫化水銀、錬金術でつくられていたからか「賢者の石」とも)
鉛丹(えんたん、鉛を加熱してつくられる)
麒麟血、竜血(竜血樹〜リュウゼツラン科〜の樹脂)
ラッカ

黄色
黄土(硫黄のある山岳地帯で採れる)
ジャロリーノ
石黄(ヒ素の硫化物)
鶏冠石(けいかんせき、ヒ素の硫化鉱物)
サフラン


緑土
ヴェルデアッズーロ(鉱物アズライトからつくる)
緑青(ろくしょう、銅が酸化されることで生成する青緑色の錆)

◯白
ビアンコ・サンジョヴァンニ(消石灰からつくられる)
鉛白(鉛からつくられる)


アズライト(宝石のひとつ。藍銅鉱らんどうこうや、ブルー・マラカイトとも)
ウルトラマリン(ラピスラズリからつくられる)

それぞれの色は成分によって、フレスコ、セッコ、板絵に向いた性質をもっていました。
例えば鉛丹は「大気に触れて色調を失うので板絵に適している」などです。
これらを当時の画家は工房で修業しながら学んでいったのですね。

参照
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。