天使の羽は白くない

芸術を読み解く
04 /24 2015
天使の一般的なイメージは、白い洋服を着て背中に白い羽がついている姿ですね。
ところがルネッサンス時代の絵画作品を鑑賞していると、ほとんどの天使の羽には色がついているのです。

有名なフラアンジェリコの「受胎告知」
アンジェリコ天使
華やかで様々な羽の色が使われています。

天使は英語ではangel、イタリア語でangeloですが、言葉の由来はギリシア語のアンゲロス(伝令、使いの者)から来ています。

キリスト教における天使は旧約聖書と新約聖書の記述に基づいています。
新約聖書の福音書、使徒行伝、ヨハネの黙示録、エペソ書などで言及されるものの、「肉体を持たない霊」であることから、その姿に関しての表現はとても少ないのです。
聖書中には4つの翼を持つケルビムと6つの翼を持つセラフィムの記述が存在しています。天使には階級があり、ケルビムとセラフィムは上級の天使です。

「肉体を持たない」といっても、絵画で表現しなければなりません。それでは天使の姿はどのように変転してきたのでしょうか?

初期キリスト教 →翼を持たない姿

中世ヨーロッパ →多翼のケルビムとセラフィム
         それ以外の天使は有翼で、当時の西欧人の衣装をまとう
         天の聖歌隊を構成する天使たちは美少年
         悪と戦う使命を持ったミカエルは戦士の姿
         受胎告知のガブリエルは中性的な美少年

ルネッサンス  →ローマ神話のクピドからイメージを借りる子供の天使が登場

近世      →無垢な子供の姿、女性の姿、やさしい男性の姿

ルネッサンスの時代から、クピドを真似た子供の姿の天使が多く絵画に登場するようになりますが、天使とクピドは弓矢を持っている(クピドの持ち物)かどうかで簡単に見分けられます。

純粋なイメージといえば白なので、天使の羽の色に使われるようになったのでしょうか。
しかし天使の羽がいつから決定的に白いイメージになったのかはわかりませんでした。
古代彫刻のクピドなどの羽が大理石の白い石だったたために、白い羽のイメージが生まれたという説もあります。

参照 「これだけは知っておきたい名画の常識」中村麗 小学館101ビジュアル新書
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。