百合は両性的なシンボル

芸術を読み解く
05 /13 2015
フィレンツェ共和国の紋章は「giglio(ジーリョ)百合」です。
ジーリョ

これはフランス王家の「フルール・ド・リス」に似ていますが、フィレンツェのほうには雄しべがついているのが違っている点です。
フルール


「ジーリョ」も百合という意味、「フルール・ド・リス」も「百合の花」という意味ですが、両方とも実はアヤメ属のアイリスの花を様式化したものです。

権力の象徴として、「ライオン」や「鷲」などはわかります。
しかし「百合」はマリア様の純潔の象徴としてよく使われるシンボルなので、宗教的で女性的なイメージがあります。なぜ女性的なシンボルを町や王家の紋章として使ったのでしょうか?

どうやら「百合」は、男性のシンボルとして使われることもあるようなのです。様々な環境での百合のイコノグラフィーについてまとめてみます。

キリスト教では
泥水の中からすくと立ち上がり、汚れに染まらない清らかな花を咲かせるため、聖句や宗教文学中で純潔と貞節を象徴する。
14世紀まで百合はイエス・キリストを象徴していた。
次第に聖母マリアのシンボルへ移り変わる(マリア様が百合を持つ図像は11世紀から)

ギリシャ神話では
ゼウスの妻ヘラの乳から生まれた花で純潔性を意味する。

男性のシンボルとして
筒状の花形から、男性のシンボルとされた。
百合とザクロで、男と女を表すこともある。

剣のシンボルとして
ジーリョもフルール・ド・リスも、3弁の花びらを形作るが、中央の花びらは剣のようにまっすぐ立つ。
全体で十字が示され、剣と十字でキリスト教のために戦う王を意味する。

フランスでは
フランク王国における最初の王朝、メロヴィング朝のクロヴィス1世がキリスト教へ改宗し、フランスの君主で最初にフルール・ド・リスを王家の紋章に採用。
クロヴィスの洗礼式に聖母マリアが現れ、祝福の贈り物としてユリを与えたという伝説もある。
ルイ9世(聖王ルイ)の時代、3つの花びらは信頼、知恵、騎士道精神を意味。
14世紀には3枚の花びらが聖三位一体を象徴するとされ、フランスから他方へと伝わっていく。

こうして見てくると、女性的であった百合のイメージが、時よっては男性的なシンボルとして使われてきたことがわかりますね。

参照
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。