黒いトルソ

フィレンツェ県
11 /29 2015
ウッフィツィ美術館と言えば「ヴィーナスの誕生」などの絵画作品で有名ですが、もともとウッフィツィ建築時には最初にメディチ家の彫刻コレクションが並べられていたと言います。
ウッフィツィの彫刻を紹介するシリーズ、今日は3階のロレンツォ・ディ・クレーディのお部屋の左奥にあるこの作品です。
kuroi torso
黒いトルソ(胴体だけの彫刻)はフェッラーラのエステ家の枢機卿のコレクションでありましたが、16世紀終わりにはローマのメディチ家の別荘の美術目録に入っていて、1783年にウッフィツィに持って来られました。

この黒い石はベイサナイトと言って、アルカリ玄武岩の一種です。イタリア語ではbasanite(バザニーテ)と呼び、エジプトの東側から採れる石でした。かなり固いため、加工が難しいとされているのですが、ローマ帝政期の何体かの彫刻が知られています。

この黒い石はその色から、古代のブロンズ作品を模倣するのに向いていました。ブロンズは非常に高価なものであったので、裕福な限られた階級しか、その作品を手にすることが出来なかったのです。

このトルソはポリュクレイトス(Policleto 紀元前5世紀頃のギリシャの彫刻家)が彫ったdoriforo(ギリシャの槍兵)の像の模倣と考えられています。肉体の筋肉や骨格の把握が素晴らしい作品です。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。