コジモ1世のバスルーム

シニョーリア広場地区
12 /01 2015
フィレンツェのヴェッキオ宮殿にてタペストリー展「Il principe dei sogni」(期間2015年9月16日〜2016年2月15日)が行われています。
展示会の様子は次回からご紹介するとして、これに関連して普段は見ることのできない空間も公開されていました。
それがこの小さな部屋「stanza di comodo」です。comodoとは「快適な、心地よい」という形容詞の他に「便利な施設、実益」といった名詞でも使われる単語です。そしてstanzaは「部屋」という意味。
bagno del cosimo1
この部屋は14世紀につくられた宮殿の心臓部にあたります。ヴェッキオ宮殿は13世紀終わりに着工され、16世紀まで増築改築が施されていきますので、部分によって建設の時代がかなり異なるのです。

メディチ家から出た最初のトスカーナ大公コジモ1世がバスルームとして使っていたと考えられます。
部屋は緊急時の最初の逃げ場であったscala piana(当時14世紀の階段の代わりに建築中だった)の真下にあります。
コジモ1世時代のヴェッキオ宮殿の改築はジョルジョ・ヴァザーリに一任されていて、このバスルームの装飾も彼とその工房によるものと考えられます。
神話とグロテスク模様のフレスコ画が、漆喰の枠で仕切られています。床は黄色と白の大理石や暗褐色の石が使われ、周囲にはアペニン山脈の灰青色の大理石が貼られています。

メディチのもう一つの住居ピッティ宮殿にもバスルームがあるのですがそちらはナポレオンの妹が住んでいた時代なので19世紀初期のもの。その時代でさえ「個人の家にバスルームがあるのは贅沢なことであった」と聞きましたので、16世紀のバスルームはさらに特別なものだったのではないでしょうか。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。