夢の王子〜3〜 兄弟との再会と赦し

シニョーリア広場地区
12 /04 2015
フィレンツェの市庁舎ヴェッキオ宮殿にて行われているタペストリー展「Il principe dei sogni(夢の王子)」(期間2015年9月16日〜2016年2月15日)をご紹介する第3弾です。
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タペストリーがヴェッキオ宮殿の壁から外された時、以前の修復が不適当であったこともあり、作品は適当な修復と保存が必要な状態でした。
シリーズの20枚のうち、10枚のタペストリーを所有するフィレンツェでは貴石加工所の監修のもとに1983年に修復が始められ、ヴェッキオ宮殿の「旗の間」にも修復の工房が設けられます。
また残りの10枚を所有するクイリナーレ宮殿ではフィレンツェから修復家たちが呼ばれて作業が行われます。
 修復は次の3つの段階で進んでいきました。
(1)タペストリーの劣化を停止させる作業。構造上の補強です。
(2)完全に図が判読できるように綺麗に掃除。また1970年代の修復時に、あとから付け加えられた部分を削除しました。
(3)引き裂かれた土台の部分の欠陥を補いました。画像が無くなってしまった部分は絵を再制作することはなく、土台だけを修復して、鑑賞者の想像に任せるようにそのまま残しました。

それでは前回に続いて題材の「夢の王子」、旧約聖書のヨセフの物語を追っていきましょう。
「兄弟への麦の販売」
デザイン>アニョロ・ブロンズィーノ
制作  >Jan Rost工房(1547年)
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ヤコブは末っ子のベンヤミンを残して、他の子供たちを穀物を買いにエジプトに遣わします。
エジプトはヨセフの夢の解釈によって飢饉を逃れていたのです。
ヨセフは兄たちを認めますが、自分の正体は隠しておきます。
図では上段左端にヨセフが居て、その右に4人の兄たちが並んでいます。

「シメオンを人質にするヨセフ」
デザイン>アニョロ・ブロンズィーノ
制作  >Jan Rost工房(1547年)
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ヨセフは兄の1人シメオンを人質にして、代償として末の弟のベニヤミンを連れてくるように要求します。
商人にヨセフを売ったのは兄たちなので、恨みのない弟のベニヤミンに会いたかったのでしょうか。
ベニヤミンはヤコブが一番可愛がっている息子ですが、ちなみに今でもイタリアでは親の一番お気に入りの子供を「ベニヤミン」と呼ぶことがあります。

「ベニヤミンを受入れるヨセフ」
デザイン>アニョロ・ブロンズィーノ
制作  >Nicolas Karcher工房(1550〜1553年)
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兄弟たちはシメオンを人質として残し、穀物を持って帰ります。ヤコブはベニヤミンをエジプトに連れて行くことに強く反対しますが、穀物が尽きてしまったため、仕方なく兄弟たちはベニヤミンを連れてエジプトに戻りました。
場面はヨセフとベニヤミンの再会シーンです。

「兄弟たちを晩餐に招待するヨセフ」
デザイン>アニョロ・ブロンズィーノ
制作  >Nicolas Karcher工房(1550〜1553年)
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ヨセフはベニヤミンを見ると感激し、兄弟たちにご馳走をします。
一番手前のテーブルの左端にいるのがヨセフ。その奥のテーブルについているのが兄弟たちです。

「ベンヤミンの袋に中に見つかったヨセフの杯」
デザイン>アニョロ・ブロンズィーノ
制作  >Nicolas Karcher工房(1550〜1553年)
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兄弟たちが穀物で一杯の袋を携えて故郷への2度目の帰途につくと、ヨセフはベンヤミンの袋の中に銀の杯と忍ばせておきます。そして家令を遣わせて一行の後を追わせ、銀杯を発見させるのです。
罰としてヨセフはベニヤミンを自分の奴隷とすると言いましたが、兄弟たちは自らが奴隷になってでも、ベニヤミンを帰らせるよう頼みます。

「兄弟に正体を顕すヨセフ」
デザイン>アニョロ・ブロンズィーノ
制作  >Nicolas Karcher工房(1550〜1553年)
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ついにヨセフは兄弟たちに正体を明かします。右上がヨセフ、その手をとって接吻しているのがベンヤミンです。

「兄弟を許すヨセフ」
デザイン>アニョロ・ブロンズィーノ
制作  >Nicolas Karcher工房(1550〜1553年)
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ヨセフは兄たちが彼を商人に売った、過去の罪悪を許しました。一番左がヨセフで、右に兄弟が並びます。

ヨセフの物語の大団円は次回です!
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。