なぜ棕櫚は殉教者のシンボルなのか?

芸術を読み解く
02 /06 2016
絵画作品の中で、殉教者はそのシンボルとして「棕櫚の枝」を持っています。
一体、このシンボルにはどのような意味合いがあるのでしょうか?

元来、棕櫚の木は戦勝の象徴でした。
古代エジプトから、常緑であり葉や茎も実も有用であったこの木は生命と繁栄のシンボルとして、その花輪はオリーブ同様に戦勝者に祝いとして与えられていたそうです。

古代ローマにこれが受け継がれ、凱旋行進の時に棕櫚の枝を持ち歩きました。
重なる棕櫚の枝が曲がるその下は、まるで凱旋門のようであったとか。凱旋門のイメージはここから来ていると本で読んだことがあります。

またイエス・キリストのエルサレム入城を記念する復活祭一週間前の日曜日は「棕櫚の日曜日」と呼ばれます。
これはイエスがエルサレム入城時に、人々がなつめやしの枝をもって迎えにきたという記述から来ていて、イタリアではこの日曜日に代わりにオリーブの枝を教会で配ります。

殉教者の持つ棕櫚は「死に対する勝利」のシンボルなのです。
また葉が落ちたところから新しい葉が生えることから「復活」「不死」のシンボルでもあります。

棕櫚は殉教者の図像の普遍的なシンボル。
殉教者は棕櫚の枝の他に自分の拷問に使われた道具を持っているので、そちらがどの殉教者かという判別の目印になります。
ロレンツォ


参照 ルネサンス期エンブレムブックにおける椰子の表象
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。