フィレンツェのピエトラセレーナ

フィレンツェ散策
02 /17 2016
フィレンツェの建築物にはピエトラセレーナ pietra serenaという石が良く使われています。
砂岩(主に砂が続成作用により固結してできた岩石)の一種です。
pietra serenaは灰色をしているため「灰色砂岩」と訳していますが、serenaは「晴れた、のどかな、落ち着いた、晴れ晴れとした」という意味があります。なぜこの名前で呼ばれるかは、調べてみましたがわかりませんでした。
建築以外にも彫刻にも使われる石です。トスカーナ地方の典型的な石で、特にフィレンツェで使用されていました。

ピエトラセレーナの細礫は石切り場によって、細かいものから粗いものまであります。また地質の「きめ」はだいたい同じです。雲母が入っていると光る点が見えることがあります。

フィレンツェの北のフィエーゾレ、ヴィンチリャータ、セッティニャーノなどでは細礫の細かいもの、フィレンツェ南西のシーニャやタヴァルヌッツェでは細礫の粗いものがとれます。

この石を使って、古代にはエトルリア人がフィエーゾレの城壁を、ローマ帝国はマルスの神殿を築きました。
しかしピエトラセレーナの栄光はなんと言っても、ブルネレスキに帰すことができるでしょう。
孤児養育院やサンロレンツォ教会、サントスピリト教会といった彼の代表作品にこの石を使用しました。
「灰色の石と白い漆喰」2色の使用はルネッサンス建築の典型となり、ミケランジェロもラウレンツィアーナ図書館に使いました。

さらにウッフィツィのロッジャ、サンッティッシマ・アンヌンツィアータのロッジャと建築外部に、19世紀にはフィレンツェの街をリデザインしたポッジも使用します。
セレーナ1


細礫が細かいピエトラセレーナは彫刻や建築の装飾にも使われます。例えばドナテッロの「マルゾッコ(バルジェッロ)」「受胎告知(サンタ・クローチェ)」です。
セレーナ2

また床石に使った例も見られ、古代ローマ時代のフィレンツェのカルド(町中心を南北に横切る通り)からの歴史を持ち、フィレンツェやシエナ、アレッツォの石畳に使用されました。

参照 Rino Sartori, Pietre e "marmi" di Firenze, notizie storiche, antiche cave, genesi e presenza nei monumenti, Alinea, Firenze 2002 ISBN 88-8125-642-8
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。