「愛は戦争をなくす」寓意画

芸術を読み解く
02 /23 2016
ウッフィツィ美術館に展示されている「ヴィーナスの誕生」では両手で裸体を隠す恥じらいのポーズをしているヴィーナスですが、神話の中ではゼウスと並んで色恋沙汰の絶えない人物です。

夫としては醜男の鍛冶屋の神ヘファイストスを選びますが、軍神アレス(ローマ名マルス)とも事実上の夫婦であり、ディオニソスやポセイドン、ヘルメスとも子供をなし、人間の男とも恋を楽しむ自由奔放な女神なのです。

戦争の神アレスは暴力的で他の神からも嫌われていましたが、唯一の理解者がヴィーナスです。
この不倫カップルのベッド・シーンはイタリアのルネッサンス時代に「マルスとヴィーナス」としてよく描かれました。

マルスを戦争、ヴィーナスを愛として「愛によって武装解除される戦争」という寓意画のテーマだったのです。
パラティーナ美術館にはバロック巨匠ルーベンス作「戦争の帰結」があります。
30年戦争によって破壊される平和と文化を嘆いて描かれた作品でした。
ルーベンス

そしてマルスとヴィーナスのベッド・シーンの絵はルネッサンス時代に「結婚記念画」として注文されていたそうです。
それぞれの神の顔をカップルの肖像画にして…
不倫カップルなのにいいのかしら?と思っていましたが、「愛は戦争をなくす」という意味合いもあったのですね。

こちらはヴェロネーゼ作「ヴィーナスを脱がすマルス」
ヴェロネーゼ
忠実の象徴の「犬」がアモルの上に上がって警告しているようですが。

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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。