カリュドーンの猪

芸術を読み解く
06 /29 2016
古代彫刻や神話をモチーフにした作品を鑑賞していると、よく出てくる動物がいます。
「イノシシ」
古代ローマ帝国時代の石棺にも浮き彫りで表現されているので、よくお客様に聞かれるのです。

イノシシが出てくる神話は幾つかありますので、美術モチーフが区別ができるように、それぞれの話をチェックしてみたいと思います。

まずはカリュドーンのイノシシです。
カリュドーンはギリシア神話に出てくる大きなイノシシで、幾つかの物語の中で語られています。
ホメーロス『イーリアス』
オウィディウス『変身物語』
アポロドーロス『ビブリオテーケー』
ヒュギーヌス『物語集』
英雄たちが集団でこのイノシシを狩るのですが、物語によって出てくるどの英雄が登場するのか、また英雄の人数が違います。

こちらはピサのカンポサントの石棺
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<物語>
アイトリアの王が女神ディアナに捧げものを忘れたため、女神はイノシシを送ってこの土地を荒廃させます。
王子であったメレアグロスは勇士をギリシア中から募ってこれを狩りに行きます。
狩りは6日間も続いたとされます。
最初にイノシシに傷を負わせたのはメレアグロスが愛する女性の狩猟家アタランタでした。
メレアグロスはイノシシの頭と毛皮を彼女に与えますが、これが諍いの元となって、メレアグロスは二人の叔父を殺害します。
メレアグロスは誕生時に、運命の三女神により炉床の薪が燃え尽きる時に彼の命も尽きると予言されていました。そこで母親アルタイアは薪を炉から取り出して保存していました。
ところが自分の兄弟が殺されたことに腹を立て、アルタイアは薪を火に投じたのです。
メレアグロスはなすすべもなく死んでしまいます。

美術のモチーフとしては、これらの場面が出てきます。
◉イノシシは木の下にいて、狩人の一隊と犬がこれを遠巻きにしている。アタランタが一矢を射たところ。
◉イノシシを囲んで攻撃する英雄たち。
◉木の下に座ったアタランタにメレアグロスが毛皮を与えている。
◉メレアグロスが叔父を前にで剣を抜いている。
◉アルタイアが薪を火にくべている。

参照 

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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。