フェドラとイッポリートと猪

芸術を読み解く
07 /01 2016
古代彫刻や神話をモチーフにした作品を鑑賞していると、よく出てくる動物がいます。
「イノシシ」
古代ローマ帝国時代の石棺にも浮き彫りで表現されているので、よくお客様に聞かれるのです。

イノシシが出てくる神話は幾つかありますので、美術モチーフが区別ができるように、それぞれの話をチェックしてみたいと思います。


ピサのカンポサントとウッフィツィ美術館の入口ホールには同じような浮き彫りを施した石棺があります。
hyudra2
これはギリシア神話の登場人物フェドラ(パイドラー)とイッポリート(ヒッポリュトス)の物語です。
アテーナイの王子イッポリートは森の中でアルテミスと共に、狩猟をしながら生活していました。
父王テーセウスの妻であるフェドラは義理の息子イッポリートに求愛しますが、拒まれます。これが石棺の左手の場面です。
フェドラ

そこでフェドラはイッポリートに乱暴されたと演出してテーセウスに訴えたので(その後、彼女は自殺します)テーセウスは息子に呪いをかけます。
ポセイドーンが遣わした怪物が海から現れ、イッポリートは戦車から落ちて暴走した馬に轢かれて死亡しました。
アルテミスはイッポリートの死を悼み、アシェルピオ(アスクレーピオス)にイッポリートを復活させたました。
アシェルピオもよく彫刻で表現される、ギリシャ神話の名医で後に神様になる人物です。
しかしこれにユピテルは激怒し、アシェルピオを雷で打ち殺したとされます。

メインの話にはイノシシの場面が出てこないんですね。そこで英雄たちが集団でイノシシを狩る「カリュドーンのイノシシ」に出てくる人物かと思ってチェックしましたが、彼の名前は含まれていませんでした。

イノシシを狩る行為は「森の中で狩猟する」彼の生活を表してるだけなのでしょう。
とすれば場面の真ん中にいる兜をかぶった女性がアルテミスですね。
(アルテミスはギリシャ神話の狩猟・貞潔の女神です)
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。