理想化とリアリズム

シニョーリア広場地区
07 /14 2016
ウッフィツィ美術館の古代彫刻を紹介するシリーズです。
今回は第一の廊下に並んでいる古代ローマの胸像について触れます。
胸像の並びに関してはこちらのページを参照にしてください。
ウッフィツィ古代彫刻の鑑賞ポイント

アウグストゥスの胸像
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1世紀の作品ですが、修復時の化学薬品を使った表面の洗浄によって、本来の石の輝きが消えてマットな色になっています。1471年、アグリッパの胸像とともに教皇シスト4世からロレンツォ豪華王に贈与されました。

これはアウグストゥスがまだ若き頃、オクタウィアヌスと名乗っていた頃の胸像です。
「アウグストゥス」という名には「尊厳あるもの」という意味があり、8月の語源にもなっている言葉ですね。

ちなみにこの廊下の一番奥にはアウグストゥスの養父であるカエサルの胸像も設置されています。

アグリッパの胸像
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アウグストゥスの腹心であり、娘婿となった人物です。軍略の弱いアウグストゥスを補佐し、またパンテオンなどを建設させました。

病弱だったアウグストゥスは、頑丈なアグリッパを後継者に考えていましたが、アウグストゥスは意外にも長命し、アグリッパの方が先に亡くなってしまいました。

アウグストゥスの時代には理想化された人物像の表現が優位でしたが、このアグリッパの像では実在の人物の様子をリアルに表す、ヘレニズム時代の影響が出ているのがわかります。

キケロ(?)の胸像
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この男性像は誰を表現したものかはっきりわかっていないのですが、ウッフィツィ美術館では伝統的に「キケロ」の像とされていて、胸像の台座にもその名前が入っています。

短い、頭に貼りつくような髪をしています。その表情は上のアグリッパの胸像と同じくリアリズムに満ち、カエサルの後の時代の作品とされています。

キケロは、共和政ローマ末期の政治家、文筆家、哲学者、イタリア語では「チチェローネ」という発音です。
彼はギリシア哲学の西洋世界への案内人であった功績があり、今でもここからガイドブックや観光ガイドのことをイタリアでは「チチェローネ」と呼びます。

キケロのように雄弁なガイドになりたいものですね!(*^_^*)
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。