トカゲの殺害者アポロン

シニョーリア広場地区
07 /16 2016
ウッフィツィ美術館の古代彫刻を紹介するシリーズです。
今回は最上階の廊下に展示されている「Apollo sauroktonos」です。
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紀元前4世紀の作品を、ローマ帝政時代(1〜2世紀)にコピーしたものです。

紀元前4世紀の最も有名なアッティカの彫刻家プラクシテレスが彫ったApollo sauroktonosをコピーしたものだと考えられています。
Apollo sauroktonos(イタリア語 Apollo sauroctono)は「爬虫類の殺す者としてのアポロン」という意味です。
こちらはルーブル美術館にある1世紀のコピー(プラクシテレスのオリジナルはブロンズ製)
アポロン

爬虫類は悪のシンボルで、これを殺すアポロンには守護神としての役割が与えられています。
数多くあるコピーにはいくつかのバリエーションがあります。

◉オリジナル作品では…
アポロンは若い裸の男性として表現され、まだ熟していない若い肉体を持ち女性的な感じがします。柔らかいポーズで木の切り株に寄っかかっています(切り株は立像を支える役割があります)左足のつま先はは右足のかかとの後ろにあります。そのため左足は完全に力が抜けた状態です。このため身体の曲がる表現が柔らかく見えるのです。この彫刻の重要な点は、それまでによく見られた固く縦に伸びるポーズを否定した、均衡を失った身体の柔らな曲線なのです。
若い神様がちょっと上の空の瞳で、切り株を登ってくるトカゲを細身の短剣で刺そうとしている瞬間です。神々しい姿とはかけ離れた人間的なモチーフが、それまでの彫刻モチーフとは違っている点です。

ウッフィツィ美術館の作品は17世紀にG.B.カッチーニが修復しました。
胴体だけが古代の作品です。切り株があったであろう部分に台の上の竪琴を挿入することで、音楽の神アポロンへとテーマを変更しました。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。