皮を剥がれたマルシュアス

フィレンツェ市
07 /17 2016
ウッフィツィ美術館の古代彫刻を紹介するシリーズです。
今回は最上階の3番目の廊下に展示されている「マルシュアス」です。
ヴェッキオ橋が見える窓の横に2体のマルシュアスが置かれています。
似たようなポーズですが、顔の表情などが微妙に違っています。
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バッカスの従者であるサテュロスのマルシュアスは、笛の名手でした。
笛を発明したのはミネルヴァでしたが、これを吹くときに頬が膨れるのを他の神様に笑われて怒って笛を捨ててしまいます。しかもこの笛に呪いをかけておいたのです。
マルシュアスは笛の技量を誇り、なんとアポロンの竪琴と競演することになりました。勝者は敗者を好きなようにこらしめることが出来るという条件です。ムーサが審判者であったこともあり、もちろんアポロンが勝利します。
マルシュアスは松の木に縛り付けられて、生きながら皮を剥がれるという残酷な罰を与えられます。

ちなみに古典音楽とルネサンスにおいて
弦楽器→音色は精神を高める
管楽器→情念を掻き立てる

と考えられていたそうです。

また葦笛は男根の象徴でもありました。

したがって上の神話は、「知性」と「感情」の対立の寓意を表現したものなのです。

ウッフィツィ美術館のマルシュアスは2体とも2世紀の作品です。
オリジナルは紀元前5世紀にMoroneという芸術家がアテネで彫った作品が有名です。

またトリブーナにある刃物を研ぐ人物像は、吊るされたマルシュアスと一緒に設置されるべく制作された作品であると考えられています。

参照「Uffizi le sculture antiche」Giovanni di Pasquale, Fabrizio Paolucci Giunti ISBAN 88-09-01945-8
  「西洋美術解読事典」ジェイムズ・ホール 河出書房新社
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。