ヴェッキオ宮殿の古代彫刻 ヘルメスとアポロン

シニョーリア広場地区
09 /16 2016
ヴェッキオ宮殿にて行われている古代ローマ彫刻展をご紹介します。
500人広間の一画にて、修復を終えた古代彫刻が4点、展示されています。
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修復によって石の表面にこびりついていた成分を排除、過去の修復によって欠けていた部分を補完したものの漆喰の状態がよくなかった部分を再修復(Pothosの右腕など)
彫刻の背中部分は表面洗浄を一部行わないまま残して、修復の前後の違いを残しています。

修復前と後ではこんなに色が違うよという写真。
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これらの作品はもともと500人広間の南の壁龕の中にあり、戦争や建築の修復の際に安全を図るため移動された以外には、その場所に留まっていました。

壁龕の中にあるということは、普段は彫刻の側面や背面は見ることができないのです。
この機会に4体の彫刻に対する詳細な研究が行われ、新しく発見された事実が記録されました。

ヘルメス
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ギリシャのオリジナル作品は残っていません。もしかしたら、幾つかの作品のレプリカからインスパイアされた作品ではないかと推定されています。バチカンの「Antinoo di Belvedere」の影響などが考えられています。
頭部は古い時代のものですが、後世に彫り直された跡があります。側部には巻き毛が覗いています。
この作品がメディチ家の別荘に設置されていた時代には「マルス」あるいは「マーキュリー」と呼ばれていました。その頃は彫刻のヘルメットの形が、これらの神様のヘルメットの様子をしていたからです。
彫刻がフィレンツェに移されてから、羽が付いているヘルメスの典型的なものへと替えられたのです。
手に持っていた棒も縦笛に替えられ、ヘルメスとして外観に近づけられました。

この図を見ると、時代によって補完されていった部分がわかります。
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右腕、左手、両脚、基台は16世紀
ヘルメット、笛は18世紀
顔は古代のものだが、胴体とは別の彫刻だった…となります。

アポロン
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胴体と頭部が一体のまま見つかった珍しい例の一つ(ほとんど作品は、バラバラに発掘されます)
16世紀の修復によって、「アポロン」という神の特徴「矢筒」「蛇のPitone」「竪琴」が付け加えられました。
壁龕から出されたことによって、楽器は16世紀に古代の石碑を利用して掘り直されたものであることがわかりました。
壁龕に入っていた時には見えなかった側面にラテン語の碑文が残されていて、碑文の内容からデキウス帝時代(3世紀)のものであることも判明しました。

彫刻各部の時代区分
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もう2体は次回、ご紹介します!
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。