ヴァザーリの「最後の晩餐」還る

サンタクローチェ地区
10 /19 2016
1966年11月4日に起きたフィレンツェ大洪水から今年で50年。
アルノ川の近くに位置するサンタ・クローチェ教会では被害も大きく、そのシンボル的な存在であるのがチマブーエ作「磔刑図」です。修復を終えた作品は現在、聖具室の中に展示されています。

しかし修復不可能とされた作品は修復工房に保存されたままとなっていました。
洪水から50年の機会にサンタ・クローチェへの帰還を目指して、大きな作品を修復しようというプロジェクトが2015年に発表されました。

そのうちの一枚が16世紀のヴァザーリ作「最後の晩餐」です。
もともとはムラーテ修道院の注文によって制作されましたが、ナポレオンの時代に同修道院が廃止されたため、作品はサンタ・クローチェ教会に移されました。
大洪水の時には教会付属美術館に展示されており、泥水に長時間、浸されることになったのです。

泥の中から救い出された作品は、色がはがれ落ちないようにParaloid B72で表面を覆いましたが、そのため表面についた汚れも固定されることになってしまいました。
その後、ボーボリ庭園にあるリモナイア(柑橘類の温室)にて徐々に湿気を乾燥させましたが、ポプラの木材を使った板絵の損傷は激しく、板・漆喰、色の剥離は防ぐことができませんでした。

ところが今回のサンタ・クローチェ帰還プロジェクトで、修復不可能と言われていたヴァザーリ作「最後の晩餐」もサンタ・クローチェに戻ってきました。Opificio delle Pietre Dure(貴石加工所)の修復を経た結果、どこまで回復できたのか。教会の中だけではなく、付属美術館にも足を伸ばして鑑賞してみてくださいね。

参照 Art Bonus

※ サンタクローチェ教会で直接聞いたところ、フレスコ画が戻ってくるのは2016年11月初めとのことです。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。