新しいノヴェッラ教会付属美術館〜法王の礼拝堂〜

S.マリアノヴェッラ地区
11 /12 2016
今まで憲兵の士官学校として使われてきたサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の一部が、教会付属美術館に編入されることになりました。教会+美術館の面積はこれまでの倍近くになります。
2016年12月から一般見学可能となる空間についてまとめてる第4弾です。今回は「法王の礼拝堂」です。

法王がフィレンツェ滞在時に使っていたサンタ・マリア・ノヴェッラの区画には小さな礼拝堂があります。位置は「大きな回廊」の2階。
全体的にフレスコ画装飾されたヴォールト天井を持ち、暗い色の地にグロテスク模様が描かれています(普通は白い地が多い)グロテスク模様はリドルフォ・デル・ギルランダイオとアンドレア・ディ・コズィモ・フェルトリーニの手によるもの。

ヴォールトには9つの場面が描かれていて、明るい色の縁取りに囲まれています。中心には「祝福を与える神」周りにはレオ10世へ捧げられた「メディチの家紋と天使」が描かれています。
天使の画像は、描き方の特徴からポントルモの手によることがはっきりしています。

構成図とフレスコ画のスタイルはフィレンツェにとっては革新的なもので、ヴァティカンの天井画にも使われていた様式です。「ローマ化」により、造形をモニュメンタルに表現するスタイルが、特にポントルモによって強調されました。

家紋以外にも、メディチへの献辞はグロテスク模様の中に表現されています。レオ10世の父であったロレンツォ豪華王の印である「ダイヤモンドの指輪の中に通された3本の羽(3本の羽の色は白、緑、赤で対神徳を表現します)」またレオ10世のインプレーザはリボンの上に書かれた「Suave(現イタリア語でsoave 快い、甘美な、柔らかなという意味があります。これはマタイの福音書から来た言葉)」このようなメディチ関連のモチーフが挿入されています。

正面の壁のリドルフォによる「戴冠」は伝統にのっとったモチーフですが、反対側のルネッタに描かれたヴェロニカはオリジナル性に溢れています。跪いた女性がキリストの顔が写し取られた布地を持ちあげています。その仕草は荘厳で劇場性に満ち、ミケランジェロからインスピレーションを受けています。輝く自然ではない色彩もミケランジェロ風です。ウッフィツィ美術館のミケランジェロ作「トンド・ドーニ」に近い作風ですね。この時代のモダンアートとなった「マニエリズム」の特徴を備えています。
ヴェロニカ2

※新しく見学できる空間は2016年12月15日開館予定です。

参照 Guida d'Italia, Firenze e provincia ("Guida Rossa"), Edizioni Touring Club Italiano, Milano 2007
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。