生命の木と最後の晩餐

サンタクローチェ地区
12 /06 2016
フィレンツェのサンタ・クローチェ教会付属美術館には、その昔に修道院の食堂であった空間があります。その壁を飾る大きなフレスコ画はタッデオ・ガッディの作品です。
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改装が終わって、やわらかな照明が当てられるようになった壁画。ジョットのもとで長年にわたり助手として働いたガッディが1335年に描きました。

実はヴァザーリはこの作品を「ジョットの作品」と記していたのですが、近代の学者によってジョットの作品リストから外されたという歴史を持っています。

「最後の晩餐」は多くのフィレンツェの修道院の食堂を飾っていますが、その最も古い例がサンタ・クローチェ教会のこの作品なのです。

まるでゴシック時代の典型的な祭壇画「裾絵(プレデッラ)を持つ多翼祭壇画」を壁画に表したような構成です。
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(a)生命の木
(b)最後の晩餐
(c)聖痕の奇跡
(d)トゥールーズの聖ルドヴィーコの物語 ナポリ王の息子でフランチェスコ修道会に入った人物
(e)隠者生活の聖ベネディクト
(f)パリサイ人の夕食でのイエス 
 娼婦(マグダラのマリア)が涙でキリストの足を濡らし、自分の髪でそれを拭い、足に接吻して香油を塗ります。キリストは「この女は多くを愛したから、その罪は赦される」と語ります。

「生命の木」はパチーノ・ディ・ブオナグイーダの同主題(フィレンツェのアカデミア美術館所蔵)をシンプルにした構図です。パチーノの作品では円形の中に新約聖書のエピソードが描かれていますが、ここでは預言者と福音書貴社の姿になっています。

空間の奥行きは幾つかのレベルに分かれて表現されています。
例えば上の場面の枠組みが下に伸びてきていますが、そのラインのこちら側に最後の晩餐の登場人物が描かれています。このため上の場面空間→最後の晩餐→鑑賞者という奥行きが構成されているのです。

参照 Guida d'Italia, Firenze e provincia ("Guida Rossa"), Edizioni Touring Club Italiano, Milano 2007
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。