四元素と四気質

シニョーリア広場地区
12 /20 2016
以前の日記にヴェッキオ宮殿の中にある「フランチェスコの書斎」に関して書きました。
ミクロコスモなフランチェスコの書斎
軍人コジモと学者フランチェスコ
メデューサの血から生まれた珊瑚

今回はこれらの日記を補完する形で、まだ紹介していなかった場面を見ていきます。以前に日記で書いた部分は太字になっています。
今日は天井画です。

中央場面 「自然の偶像とプロメテウス」
その四方に「空気」「水」「火」」土」の4つのエレメンツ


それぞれ4つエレメンツの間には二人のプットー(子供)が描かれた場面があります。
プットー
「土」と「火」の間 I Secchi(乾気)の偶像 
「土」と「水」の間 I Freddi(冷気)の偶像
「空気」と「水」の間 Gli Umidi(湿気)の偶像
「空気」と「火」の間 I Caldi(暖気)の偶像

そしてプットーの横、天井画の四隅には「四気質」です。プットーで表された性質と繋がっています。
天井画
「四気質」は中世の生理学において、肉体には4つの液体が流れ、そのいずれかが相対的に優位かにおいて人の気質が決定されると考えていました。

乾気の横「la Malinconia 憂鬱質」malinconiaは憂鬱、哀愁の意味があります。
憂鬱
「土のように冷たく乾いている」(ボルギーニ)
空想に耽っているような羽を生やした少女です。科学のシンボルの天秤と時のシンボルの砂時計を持っています。

冷気の横「la Flemma 粘液質」flemmaは沈着、冷淡、忍耐、鈍重の意味があります。
フレンマ
「水のように冷たく濡れている」(ボルギーニ)
ベッドの上の裸の女性が描かれていますが、その意味するところははっきりわかっていません。

湿気の横「il Sangue 多血質」sangueは血、情熱などの意味があります。
多血質
「空気のように暖かく湿っている」(ボルギーニ)
赤い肌をした若者が下にいる人物を殴ろうと腕を振り上げているポーズです。

暖気の横「la Collera 胆汁質」colleraには怒り、激怒、憤怒の意味があります。
studio1
「炎のように熱く乾いている」(ボルギーニ)
若者がアンフォラを頭の上に抱え持っています。発作的に怒りに駆られた人間の溢れ出る感情を表現していると考えられます。

残りの2つの部分には動物が描かれているのですが、これは両方ともフランチェスコ1世の紋章です。
「牡羊」 3月生まれのフランチェスコ1世を象徴。
studio2

「イタチ」 モットー「Amati Victoria curam」の文字入り
studio3
中世の時代にイタチとヒキガエルはお互い天敵同士とされ、イタチは賢明にヘンルーダの小枝でヒキガエルの攻撃から身を守ると考えられました。賢明さで身を守り、徳で敵を打ち倒すシンボルとしてフランチェスコ1世の個人的なインプレーザとして使われていたのです。

次回は壁にある戸棚の板絵を紹介していきます。

参照 「西洋美術解読事典」ジェイムズ・ホール 河出書房新社
   「Palazzo Vecchio e I Medici」 guida storica di Ettore Allegri e Alessandro Cecchi, studio per edizioni scelte
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。