火のエレメントの物語2

シニョーリア広場地区
12 /22 2016
ヴェッキオ宮殿の中にある「フランチェスコの書斎」に関して以前に書いたものを補完する形で、まだ紹介していなかった場面を見ていくシリーズの第3弾です。
以前の関連ページはこちら。
ミクロコスモなフランチェスコの書斎
軍人コジモと学者フランチェスコ
メデューサの血から生まれた珊瑚
天井画の「火のエレメント」の下は上下2層の絵画彫刻作品が並んでいます。
上段には火を使う工房の様子が並んでいます。

アポロン像
羊毛加工工場
火薬工場
ガラス工場
彫金工房
錬金工房
ブロンズ鋳物工場
ヴォルカヌス像


今日はその下に並ぶ作品を見ていきます。
これらの絵画作品は戸棚の扉になっています。
戸棚の中にはフランチェスコが悪と毒から守ってくれると信じていた「奇跡を起こす魔法の石」「奇跡のポーション」が保存されていました。

「アポロンとケイローン」←アポロン像の下
野蛮で粗暴なケンタウロス族の中で、ケイローンは例外的な存在です。アポロンから音楽、医学、予言の技を、アルテミスから狩猟を学びました。薬草を栽培して病人を助け、ヘラクレスやカストールら英雄たちに武術や馬術を、アスクレーピオスには医術を授け、アキレウスの教育係でもありました。 
場面はアポロンが自分の息子をケイローンに紹介している場面で、背景にはケンタウロスと人間が薬を生産しています。
アポロンとケイローン

「祭壇のラヴィーニア」←「羊毛加工工場」の下
巫女は古代ラティウムの王に外国人が率いた軍勢によって国は支配されるだろうと予言をします。この時に王の娘ラヴィーニアの髪が祭壇の火が燃え移ります。ウェルギリウス著「アエネイス」にてトロイの英雄のアエネイスがトロイ陥落後にイタリアに渡り現地王の娘と婚約し、反対勢力と戦う物語の一場面です。ラヴィーニアは父王の命令で元の婚約を破棄し、アエネイスと婚約することになります。
祭壇のラヴィーニア

「アレクサンダー大王の前のダレイオスの家族」←「火薬の発明」の下
戦いで倒れたペルシャ王ダレイオスの家族たちが、マケドニア王にペルシャの衣装や金のベルトを服従の印として贈っています。
ダレイオスの家族

「ガラスの発見」(?)←「ガラス工房」の下
イコノグラフィーがよくわかっていない作品。「博物誌」の著者プリニウスによればケイ酸塩の商人が偶然にガラスを発見したとされます。商人たちが食事の時に燃料が何もなかったためケイ酸塩岩石を燃やしたところ、ガラスができたとか。
ガラスの発見

「略奪」←「彫金工房」の下
こちらも設定がよくわかっていない作品。勝利した軍隊の略奪の様子。人間の強欲を意味しているとも。
略奪

「オデュッセウスとマーキュリーとキルケ」←「錬金工房」の下
キルケの魔法の食物によって動物に変身されてしまったオデュッセウスの仲間たち。オデュッセウスは予め解毒の草の根を食んでいたため、魔法にはかからず魔女に仲間たちを元の姿に戻すように要求します。
オデュッセウス

「カンパスペをアペレスに贈るアレクサンドロス」←ブロンズ鋳物工場の下
カンパスペはアレクサンドロス大王の情婦で、古代世界で最も偉大な画家という名声のあったアペレスの絵のモデルとなリました。その裸体画の美しさに、アレクサンドロスは画家が自分以上にカンパスペを理解し愛していることを感じます。そこでアレクサンドロスは絵を受け取り、カンパスペをアペレスに与えました。
カンパスペ

「ヴォルカヌスの鍛冶場」←ヴォルカヌスの彫刻の下
キュクロプス(一つ目の巨人)たちが鍛冶場で働いています。下の方ではアモルたちが鏃の生産に勤しんでいます。
ヴォルカヌス

ちなみに絵の並び方は後世に推測から再現されたものです。なぜならフランチェスコ1世が亡くなった後、跡を継いだフェルディナンド1世によって、この部屋の絵は取り外されてしまったからです。
現在の絵の設置場所が正しいのかどうか?
図像学としても何を表現しているのかはっきりしない絵は、設置場所推定も困難だったでしょうね。

次回は「地のエレメント」の作品を紹介します。

参照 「Palazzo Vecchio e I Medici」 guida storica di Ettore Allegri e Alessandro Cecchi, studio per edizioni scelte
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。